タオルウォーマー

皆さんの施設では、タオルウォーマーすなわち電気保温器を使っているだろうか?

介護施設でのタオルウォーマーの用途は2つだろう。おしぼりを温めるか、排泄ケア時に陰部を清拭するための布を温めるか。
そのどちらの目的で使うにしろ、衛生面での問題はないだろうか。つまり、高温による殺菌効果を期待しても良いのか、それとも逆に、菌を繁殖させるリスクを伴っているものなのか?

食品の場合、加熱による殺菌は中心温度75度で1分以上と言われるが、O-157など比較的熱に弱い食中毒菌はこのぐらいで充分な効果があるとされているからである。しかし、おしぼりや清拭布となるとどうだろうか?
医療器具の殺菌は、普通100度以上を基準とする。蒸気によるオートクレーブは、特養ではあまり備えているところはないかもしれないが、老健ならば多くの施設が所有しているだろう。

一方、市販されているタオルウォーマーは、どれも最高温度が80度以下である。これはたぶん、ビニール袋に入ったおしぼりを入れる際に、ビニール袋が溶けてしまわないように、わざとそうしているのではないかと思う。
それに薬品による殺菌後、ビニールに封入したおしぼりでなく、職員が洗濯、殺菌して丸めて入れるだけだとしても、食事の前に手を拭くためのおしぼりとして食中毒菌を殺菌することを主な目的としているのならば、80度で充分なのかもしれない。
しかし、熱に強い雑菌ならば80度では足りないだろう。陰部清拭用であれば、様々な菌が尿路感染などを引き起こし得る。

しかも、たくさん重ねて入れるようなことがあると、中心部の温度は80度よりもはるかに低い温度になってしまう。こうなると、湿度と熱によって、菌を却って繁殖させてしまうこともありそうだ。

実際、うちの施設では陰部清拭用の布の保温にウォーマーを用いているのであるが、昨日私が夜勤に入った際には、布が多量にウォーマーに詰め込まれていて、扉を開けたら強い雑菌の匂いが漂ってきた。そこでいったん全て取り出して布を次亜塩素酸ナトリウムで殺菌し、ウォーマー内部をアルコールで清掃した。

一度にそれだけ多量に使うことがあるわけではないのに、何故そんなに多量に詰め込んでしまうのか。また、匂いは気にならなかったのか。
もし自分が排泄後にその布で陰部を拭かなければならないとしたら、抵抗なく使えるのか。

されるのが自分だったらどう感じるか、という感覚が鈍っている一例かな、と思ったのだった。

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