介護技術講習

介護技術講習が始まった。
受講しておくと、介護福祉士国家試験において実技試験が免除されるというアレである。

実技試験を受けること自体は別にイヤではないのだが、わざわざ遠方へ金をかけて受けに行かなければならないのは、できることなら避けたい。今回、介護技術講習の費用がうちの法人での介護職員処遇改善の一環として援助してもらえることになったので、ならば受けさせてもらって、介護福祉士資格も取っておこうと思うに至ったというわけ。

今資格をとったからといって、すぐにどうということはない。だが、以前住宅型有料老人ホームに勤めていた時に、無資格であるが故の役立たなさを嫌という程味わった。何しろ訪問介護としてのサービスに一切入れないのだから。
今後、再びそういう機会がやって来ないとも限らない。

思えば、私は介護に関しては全くの無資格なので、技術的な講習を職場外で受けるのは全くの初体験である。なので、かなり新鮮な気持ちで行った。

受講者の男女比は見事に1:1。年齢は20台から50台くらいまでバラけている。まさに現在の介護現場の縮図という感じだ。私がこの業界に入った9年前に比べ、男性が明らかに増えているもんなあ。

まずは講義。
テキストは全国共通だと思うが、その1ページ目は「介護における目標とは」である。
そこからICF、廃用症候群(生活不活発病)、リハビリにさらっと触れて、介護過程、つまりケアマネジメントのプロセスと同じことへと進んだ。
これは、介護において「何故そうするのか」という根拠をきちんと考えるように、ということなのだろう。なるほどと思った。

そして演習となるわけだが。
これは、身に付けている技術の確認ではなくて、修了検定をパスするために順番に行うことの確認と暗記という感じだった。

考えてみれば、これも当たり前ではある。介護を客観的に採点するには、チェック項目を設け、それがクリアされているかを見るしかないのだ。
でなければ、フィギュアスケートやシンクロナイズドスイミングのように、技術点とか芸術点とかを主観的に評価するしかなくなってしまう。

介護福祉士の実技試験も、結局はこういうことなのだろうか。
つまり、出題される場面は既に幾つかに絞り込まれていて、こういう時にはこういうところに気をつける、ということの暗記でしかないと。

チェックされる項目には、普段の介護の場では絶対に行わないようなものも含まれている。例えば、短時間のうちに再三繰り返される口頭による体調確認、介護用ベッドのキャスターのストッパーがかかっているかの確認、これから移動していく経路が安全であることの確認など。
それでも、これから行うことを説明して同意を得るなど、普段はおざなりにしてしまいがちなことの必要性を確認することができた。
そして、その選択を支持する一言を添えること。これも無理に付け足そうとすると不自然になりがちではあるが、うまく言えればご本人さんの自信にも繋がっていく。

どんな講習、研修も、受ける側が臨む姿勢によって、無駄になるということはない。大切なのは、そこで何を教わるかではなく、何を考えるかなのだから。
講習や研修に関して無駄だったと言う人は、自らのうぬぼれを露呈しているだけだ。

とまあ、介護技術講習の様子なんかを書いたわけだが……これを読んでる皆さんの大半は一度通ってきた道だったりするのかな?

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