ケアマネ受験要件としての相談援助業務

介護支援専門員の資質向上が叫ばれている。
その一部として、介護支援専門員実務研修受講試験の受験要件を、原則的に法定資格に基づいての実務経験に限るという案が出されている。
ただ、相談援助業務については例外で、資格がなくとも5年従事していれば良いとする現状が、そのまま受け継がれているのだ。

これは妥当なのだろうか。

いわゆる相談員は、制度に知悉していないと充分な仕事ができない。一方、例えば介護福祉士として普通に働いてきただけでは、法令は全く身に付かない。

もちろんその代わりに、相談員をやってきただけでは実際の介護がわからない、となる可能性もあるわけだが、それを言い出せば病棟勤務の看護師は介護サービスの知識など皆無だろうし、介護職は医療に弱い。

ただ最低限、絶対外せないのは制度に関する知識であり、それゆえに相談援助職は例え資格がなくとも良い、という判断なのだろうと思う。
実際、相談員を5年もやっていれば、介護支援専門員実務研修受講試験は合格して当然であろう。

ただ、だからと言って、ケアマネになった後でも他の基礎資格の人よりもスムーズに業務が行えるかというと……それはまた別の話、なんだろうなあ。

介護支援専門員資格の国家資格化

ご存知のように、介護支援専門員資格は国家資格ではない。都道府県による任用資格である。

なぜ国家資格ではないのか。介護保険制度がスタートしてからこの業界に入った私は、制度創設時のことを全く知らない。なので単なる想像でしかないのだが……

介護保険制度にケアマネジメントを組み入れるには、最低限、サービス調整と給付管理を行う者が必要である。本来であればソーシャルワーカー(我が国の資格制度で該当するのは社会福祉士だろう)が行うのが妥当であるが、日本には非常に少ない。そのため、新たに資格を作らなければならなかった。
資格取得の難易度が高くては、せっかく介護保険制度をスタートさせてもケアマネジメントを行える者の絶対数が不足し、制度を利用する者が増えないかもしれない。そのため、試験はごく基本的な知識を問うだけのものとして、メインはその後の研修とした。研修でケアマネジメントの手法の基本だけを身に付けてもらえば、それで良しとしたのである。

サービス調整と給付管理。これだけの内容の業務を行うための資格を国家資格とするわけにはいかず、任用資格に留め置かれたのではないだろうかと私は思っている。
と言うよりも、国家資格にするなどとは誰も考えなかったのではないかと思う。

ケアマネジメントをするためだけの資格を国家資格にする、などとは。

介護支援専門員の国家資格化は、日本介護支援専門員協会長(当時)の木村隆次氏によって「介護支援専門員の資質向上と今後のあり方に関する検討会」で提案されたし、また2年前から自民党のマニフェストにも記載されている。
国家資格化されたらどうだというのだろうか。

国家資格とするには、①介護支援専門員の業務をそれに値するだけのものと証明し、さらには、②取得にそれなりの手順を踏ませる必要があると思われる。ケアマネジメントとはサービス調整と給付管理だけではなく、ソーシャルワークこそが重要であることを明らかにし、さらに資格を取得するためにはそれなりの知識と技能を求める。
木村氏は②については、大学にケアマネジメント学科を作って卒業生のみに受験資格を与えるとか、試験合格後に1年間のインターンを義務付けるなどを提案した。しかし他の委員の反応は芳しくなかったようである。これは上記の①については触れずに②のみを主張したためではないかと思う(私は傍聴していたわけではないので単なる想像である)。

私は、以前どこかのエントリで書いた気がするが、国家資格化には賛成である。それが介護支援専門員の地位向上につながると思うからだ。
国家資格と任用資格の違いなど利用者さんは誰も気にはしていないが、このままでは、介護支援専門員資格は単なるサービス調整と給付管理のための資格としか世の中に認められず、居宅介護支援費のアップなど到底望めないだろう。国家資格化し、せめて社会福祉士程度の難易度の試験を受けさせ、取得した者にはそれなりの職務上の権限と報酬を与えるようにすべきだ。

上記の②、試験の方法や研修、実習についてなど後でいくらでも決められる。重要なのは①だ。ケアマネジメントとは単なるサービス調整と給付管理だけではないことを、ケアマネジメントの効果についての統計的研究や、事例の積み重ねから明らかにしていくこと。
それをせずに地位向上だけを訴えても、誰にも聞いてはもらえないのではなかろうか。

社会福祉主事任用資格

社会福祉主事任用資格というものがある。社会福祉法にはこうある。

第4章 社会福祉主事
(設置)
第18条 都道府県、市及び福祉に関する事務所を設置する町村に、社会福祉主事を置く。
2 前項に規定する町村以外の町村は、社会福祉主事を置くことができる。
3 都道府県の社会福祉主事は、都道府県の設置する福祉に関する事務所において、生活保護法、児童福祉法及び母子及び寡婦福祉法に定める援護又は育成の指定に関する事務を行うことを職務とする。
4 市及び第1項に 規定する町村の社会福祉主事は、市及び同項に規定する町村に設置する福祉に関する事務所において、生活保護法、児童福祉法、母子及び寡婦福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法及び知的障害者福祉法に定める援護、育成又は更生の措置に関する事務を行うことを職務とする。
5 第2項の規定により置かれる社会福祉主事は、老人福祉法、身体障害者福祉法及び知的障害者福祉法に定める援護又は更生の措置に関する事務を行うことを職務とする。

(資格等)
第19条 社会福祉主事は、都道府県知事又は市町村長の補助機関である職員とし、年齢20年以上の者であつて、人格が高潔で、思慮が円熟し、社会福祉の増進に熱意があり、かつ、次の各号のいずれかに該当するもののうちから任用しなければならない。
1.学校教育法(昭和22年法律第26号)に基づく大学、旧大学令(大正7年勅令第388号)に基づく大学、旧高等学校令(大正7年勅令第389号)に基づく高等学校又は旧専門学校令(明治36年勅令第61号)に基づく専門学校において、厚生労働大臣の指定する社会福祉に関する科目を修めて卒業した者
2.厚生労働大臣の指定する養成機関又は講習会の課程を修了した者
3.社会福祉士
4.厚生労働大臣の指定する社会福祉事業従事者試験に合格した者
5.前各号に掲げる者と同等以上の能力を有すると認められる者として厚生労働省令で定めるもの
2 前項第2号の養成機関の指定に関し必要な事項は、政令で定める。

つまり、行政機関において福祉事務に携わるための任用資格なわけだ。今さらだが。
そのための要件としては、上の定めはまあ、こんなものだろうなと思わせる。もっとも、「人格が高潔で、思慮が円熟し、社会福祉の増進に熱意があり」なんて、厳密に解釈すれば該当する人はほとんどいないだろうが。
大学で、指定された科目を修めて卒業という部分も、中心になっているのは「指定された科目を修めている」ことよりも、むしろ大学を卒業していることにあると考えれば、納得できないこともない。

しかし、この資格を介護サービス事業所においても適用しようとすると、どこかおかしな感じになってしまう。
大学の文系学部を卒業している者なら、指定の科目はたいてい履修しているだろう。かく言う私もそうだ。そんないわゆる「三科目主事」が、指定された養成機関でスクーリング込みの通信教育を受けた者や、社会福祉士などと同列に扱われるのである。経済学や社会学、教育学、倫理学などを学んでいるからと言って、それが介護の現場で一体何の意味があるのか……

何が言いたいのかというと、社会福祉主事任用資格は相談員の任用要件から外すべきではないか、ということだ。いっそ資格そのものを廃止してしまってもいい。
実際には、経験や能力が重視されるのであって、この資格を持っているというだけの理由で介護サービス事業所の相談員に任命されることはそうそうないとは思う。しかし現に私がそうだったのである。介護職としてこの業界に入って2ヶ月で、老健の相談員になった。

その結果が、エントリ「老健の支援相談員」だ。

あの時に相談員になったことは、私にとってはキャリアと収入の面から見てとても有り難かったのは間違いない。あのまま介護職を続けていたら、生活できずに、いずれ介護業界から足を洗っていたかもしれない。
しかし、そのおかげでこんなひねくれた施設ケアマネが出来上がってしまったとも思っているのだった。

介護過程の課題についての簡単な説明

毎年9月から11月頃にかけて、何人かの職員が介護技術講習を受講する。
説明は不要だと思うが念のために書いておくと、介護技術講習とは、修了すると介護福祉士国家試験で実技試験が免除となるものだ。

かくいう私も、昨年に受講した。その時のことはエントリ「介護過程の展開」「介護技術講習」あたりで書いた。

さて、毎年この時期になると、受講している職員が「これ、どうすればいいですか?」と介護過程の課題を持ってやって来るのが恒例になっている。講習では演習が中心になるので、充分に説明している時間がないのだろうが……それにしてもスクールは説明が足りなさ過ぎではないか?

毎年同じようなことを、頭を悩ませながら伝えるのにも疲れたので、後年のためにここに書き留めておこうと思う。訊かれるのは毎年ほぼ同じことなのだから。

どのスクールでも、介護過程の課題では、最低2枚の用紙を渡される。簡易なアセスメントシートと、介護過程を展開していくシートである。

さて、まずは簡易なアセスメントシートだが、これはICFに基づいているため、環境因子や個人因子、参加と活動といった、介護職員にはこれまであまり馴染みのなかった用語が並んでいる。皆、まずここで「?」となるようだ。
そこで、ごく簡単に説明する。

環境因子とは、当の本人以外の全てを指す。それは物的因子つまり「物体」と、人的因子つまり「人間」と、社会的制度的因子つまり「形のないもの」の3つからなる。今のその方の生活を作り上げているものをその3つに分け、記載する。
物的因子は、どんな家に住んでいるか、どんな道具を使っているか。
人的因子は、誰がどんなふうにその方の生活に関わっているか。
社会的制度的因子は、法や慣習、介護サービスなどが今の生活にどう影響しているか。

個人因子は、当の本人のことだ。これまでどのような人生を送ってきたか、今はどんな生活になっているか、価値観すなわち人生において何を大切に思っているか、趣味は何か。

参加とは、すなわち社会への参加である。人間は国、地域、会社、家族などの集団を作り、皆がそれぞれに役割や目的を持って生きており、また参加することが、自分が生きていることを実感させる。これから、どのように社会の中で生きていくことができるだろうか。

活動とは、当の本人が生きていく上ですることだ。食べる。寝る。排泄する。移動する。仕事をする。趣味を楽しむ。

そこで「主目標」を考える。これは、「来たる将来、どのような生活を送れるようになっているか」をそのまま書けばよい。人間の人間たるゆえんは、家族や組織など集団の中で生きることであるから、その人だけで完結する内容(例えば「トイレに一人で行ける」など)よりも、集団の中での姿を想像すべきだ。
例え施設に入所されており、全介助でベッドに臥床している時間がほとんどの生活であっても、ベッドから離れて他人と関わる時間を持つことは可能である。その時間をどう過ごすのか。

ここで、介護過程を展開するシートに移る。これは「情報収集」「情報分析」「課題」「介護目標」「介護内容」と分かれている。

「情報収集」は、アセスメントシートに書き込んだ内容のうち、目標に関わる部分をそのまま列挙すればいい。
「情報分析」は、可能性を考える作業だ。「現在はこういう状態である」という情報を元にして、「今後、○○になれば、△△になる可能性がある」という形に持っていく。
そして「課題」。これはケアプランで言うニーズである。「needs」すなわち「必要なもの」。どうなることが必要なのか。
そしてその「必要なもの」を満たすために達成すべきことが「目標」となる。さらに、それをどのように支援していくかが「介護内容」となるわけだ。

さて、この展開作業は、あくまでも定めておいた主目標に沿ったものでなければならない。例えば主目標が「毎日散歩に出かけ、畑の農作物の状態を確認したり、近所の人と話ができる」だとして。
脳梗塞後遺症のため片麻痺があるが(情報収集)、筋力が回復し、杖歩行に慣れれば長距離の歩行ができるようになるかもしれない(情報分析)。散歩に行くためには、長い距離を一人で安全に歩けるようになることが必要(課題)であるから、まずは杖を使って、家族と一緒に家の周囲を一周できるように(目標)、家族がそれに付き添い、介護職員はデイサービスでなるべく歩く機会を持ってもらえるように努め、機能訓練を手伝い、時には外出レクに参加してもらって屋外での歩行状態を確認する(介護内容)。
というように。

これが、介護過程を展開するということである。

以上、ケアマネジメント等に慣れていない介護職員に向けての言葉なので、厳密に言うならツッコミどころもあるが、その辺はご勘弁を。

(参考エントリ:介護過程の展開 / 介護技術講習

介護福祉士試験勉強アプリ2014年版

図らずも、一昨日に引き続きiOSアプリの紹介になってしまうが……

エントリ「介護福祉士試験勉強」などで紹介した、私が昨年度の介護福祉士試験の勉強に使っていたアプリが2014年版になった。

介護福祉士一問一答+模擬問題2014
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この時期の更新なのに、iOS7のフラットデザインを完全に無視した作りはさすが(笑)。

このアプリは、中央法規の「介護福祉士国家試験模擬問題集2014」をアプリ化したものだ。少なくとも昨年の版は、解説文なども全て元の本と同じだった。
元の本からして評判は良いようなので、中身に関しても信頼して良さそうだ。もっとも、私は他の本を全く知らないので、比較してはいないのだが……まあ私が昨年、これのおかげで合格できたのは確か。

2014年版模擬問題セット(360問)が10/1までの間、2,400円→1,900円のセール中らしい。元の本が3,360円なので、本を買うよりもずっとお得である。
が、アプリの名前は「一問一答+模擬問題」なのに、一問一答が無料問題しかないという……これから追加されるのかな?