介護予防サービスを市町村の事業へ

介護保険、軽度者向けサービス見直しへ
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130504-OYT1T00934.htmリンク切れました。

厚生労働省が要支援を介護給付から外し、市町村の事業に委ねる方針を定めたという。

要支援とは、基本動作の改善や悪化防止に支援を要し、また日常生活の継続に支障がある状態とされている(介護保険法第7条第2項の要約)。
しかし、介護保険から提供されるサービスは「介護予防サービス」である。つまりは要介護状態になることを予防するのが最大の目的であると言って良いだろう。

結局それはどうだったのか。最近は介護予防サービスの効果についての調査が行われたとは聞かないが、4、5年前には確かあったはず……と思い、ググってみたらそれらしいのが1つ見つかった。
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/05/dl/s0528-5a.pdf

上記の結果では、要支援1では1,000人当たり155人の悪化を予防する効果があったとのことだ。これを高いと見るか低いと見るか……
ちなみに特定高齢者でははっきりとした効果は認められなかったという。

私はその当時、デイサービスに勤めていた。要支援の方も1日に4、5名以上は来られており、午前中にはずっと、個別の訓練のほか集団で音楽に合わせて体を動かしたり、ダンベルやバンド類を用いてのトレーニングなどをみっちり行っていただいた。昼食の後はレクレーションに参加していただいて交流や精神活動も提供し、現在の生活の継続のためにそれなりに役に立てているだろうと自負していた。
しかし、これらに「介護給付」が使われるのはどうなのだろうと感じていたのも確かである。要支援となることが保険事故と言えるだろうかと。要支援の認定は、正常な老化の過程の範囲にあると思える方にでも下りるのだから。

給付費抑制のためには、自己負担割合を上げるという選択肢もあったことを考えると、要支援の方を介護給付から外すというのはまだ納得できる。これから先、介護が自らの問題となった時に、負担額が上がるよりは、状態が悪化するまで保険の給付は受けられない方がまだ良いと。

いずれにしろ、国は軽度者を切ったと言うよりも、降参したと言うべきだろう。要支援そして要介護の方に、その方が真に必要とするサービスを使ってもらい、財源の無駄遣いをなくすためのシステムを作るのは、我々には無理です、と。
介護のことを知らない自分たちにはできませんと匙を投げたのだ。

さて、市町村はどうするのだろうか。

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区分支給限度額を目的別に

昨日のエントリを書いていてふと思ったのだが、介護保険の区分支給限度額を、目的別にそれぞれ何単位まで、と変えてみてはどうだろうか。

例えば要介護1では現在16,580単位だが、これを

生活援助:4,000単位
身体介護:4,000単位
リハビリ・機能訓練:6,000単位
娯楽活動:2,500単位
認知症ケア:5,000単位

のように分割する。全てをトータルすると現在よりも増えていることもポイントの1つである。
各々の比率は、介護度によって変えると良いだろう。例えば要介護5の方であれば、身体介護の割合をもっと高くする必要があるはずだから。

これらの単位の使い方は、サービス種別でなく、提供するサービスの内容によって分ける。例えば通所介護では、1日の利用で身体介護とリハビリ・機能訓練、そして娯楽活動の全てでサービス提供が可能とする。ただし当然、実際に提供しているサービス内容が、それぞれの算定に値しないようであれば算定は不可。
つまり、交流目的でデイサービスに通われていて身体介護の必要がほとんどない方であれば身体介護分の料金は徴収できず、またリハビリ目的の利用で娯楽活動は一人で読書を楽しむので不要という方であれば娯楽活動分の料金徴収は不可、とするわけだ。
そうすれば、その分で節約された分は、より適切な他のサービスに回すことができる。例えば通所介護では機能訓練を受けず、その分のリハビリ・機能訓練枠の単位を訪問リハビリに充てるとか。

これは施設にも適用する。
こうしたシステムが採用されれば、手がかからないからといって放っておかれる方がいなくなるのではないだろうか。一方、認知症のために「手のかかる」方は、認知症ケア分でしっかりサービスを提供する。
そして要介護度が改善されたり在宅復帰された場合には、事業所にその分の報酬を与える。これは絶対に必要だ。自分たちが頑張った結果、報酬が下がる現在のシステムではどうしようもない。

しかしこういった「目的」を分けるのは、例えば生活リハビリの考え方では難しい。また各事業所はよほど努力しないと減収になるだろう。

だが、それでいい。各々のサービス事業所は自分たちの事業所のウリを考え、それに合った利用者さんが集まることになるだろう。魅力のない事業所は淘汰される。
身体介護や機能訓練はほとんど行わず、娯楽活動に特化した安価なデイが生まれるかもしれない。それはそれで望ましいことだ。
また人員も無駄なく配置されるようになり、人手不足の問題も多少は改善されるかもしれない。

さらに、本来必要がない施設入所も減るだろう。自立度が高い方を入所させたのでは、身体介護分を請求できない施設は確実に減収になってしまうからだ。

優れたサービスを提供する事業所には高い報酬を与え、ただ利用者さんに時間を潰させているような事業所の報酬は低くする。とにかく競争が生まれなければ業界全体でのサービスの質は向上しない。
そろそろ、この問題に目を向けてもいい時期が来ているのではないか。

介護の独立を

介護保険制度が始まって12年。

介護保険制度は、急速に進行する高齢化と家庭の介護力の低下に速やかに対応するため、民間に大きく門戸を開放した。
そこに医療と介護を分けようという明確な意図があったとは思わない。おそらくは単に、医療費を抑制するために別立てとしたのと、医療従事者を中心にして介護をそこへ従属させられるほど介事業に進出できる医療従事者が存在していなかったからだろう。
この結果、医療と介護の連携がうまくいっていないことが課題となっている。

そしてこのところ、厚生労働省はこうした介護保険制度の現状を、自ら否定し始めているように思える。

サービス付き高齢者住宅の推進などは、デンマーク型の「住まいとケアの分離」を志向しているといって良いだろう。現に、例えば10月27日、東京都福祉保健財団主催の「第三者評価高齢セミナー ~介護サービスの質の向上に向けて~」における、前厚生労働省老健局長による基調講演でも、デンマークが引き合いに出されていた。
デンマークは公的なサービスが主体で、医療と介護はもともと統合されている(サービスリーダーは看護師)。と言うより、そもそも医療と介護がはっきり分かれている国など日本ぐらいのものだろう。多くは、訪問看護師が在宅医療・介護の中心を担っている。

そうした国から学ぼうとすることは、介護保険制度の失敗を認め、改めて舵を切り直そうとしているのに等しい。

こう考えてみると、定期巡回・随時対応型サービスは、巡回型ということや包括報酬ということよりも、訪問看護と訪問介護を一体化して提供することにこそ狙いがあるのかもしれない。
しかし蓋を開けてみれば、一体型よりも連携型の方が遥かに多かったのは以前のエントリでも書いた通りだし、そもそも普及が遅れている。
もはや医療にとって、介護への進出には魅力が感じられないのだ。介護事業が国から締め付けられているのを目の当たりにしているのだから。

介護保険制度は「走りながら考える」のはいいが、多種類のサービスを並列して作り過ぎた。そのため、制度としての軸がなくなってしまっている。その軸を作るのに、新しいサービスを増やすのではダメなのである。

そもそも制度創設時に訪問介護と訪問看護を分ける必要はなかったのだ。1つのサービスの中で、看護、身体介護、生活援助と分け、全ての事業所に一人以上の訪問看護師の配置を義務付けるべきだった。同じく通所の通所介護と通所リハ、ショートステイの生活介護と療養介護の区別も必要なかった。
たぶん、こうしたことは官僚も考えたのだろう。何とか軸を作ろうと、定期巡回・随時対応型サービスや複合型サービスが生まれることとなったが、介護の側から医療の領分へと手を伸ばすのは、介護側の人間にとって畏れ多い。よって医療と介護の統合はまたしても進まない。

こうなった以上、我が国は、医療と介護の統合を進めるのではなく、介護を医療から独立した一分野として、逆に世界から注目されるくらいにすべきではないかと思う。
そのためには、認定審査会において主治医意見書の偏重をやめ、更新の度に主事意見書を作成させるのではなく必要時のみとすること、居宅療養管理指導の報酬を上げる代わりに給付管理の対象とすること、短期入所の人員配置から医師を外すことといった改正を行い、代わりに介護支援専門員資格のハードルを非常に高くすれば良いのではないか。

もちろん、それでも連携は必要である。そのためには調整役である介護支援専門員資格のみを見直しても仕方がない。介護を、医療と並び立つ存在にしなければダメなのだ。

これを、住まいとケアの分離と同時に行う。それが、日本の介護保険制度の進んでいくべき道であろうと思っている。

申請書類

現在、指定申請のための書類を作成中。
厳密に言えばまだ申請の前段階なのだが、提出を求められた書類は申請時と全く同じものである。

このところ、報酬改定や管理者の交代、それにボツになった新規事業計画などもあって、こうした指定権者に提出する書類を作る機会が多い。
思えば、私が最初に申請書類を作ったのは、この仕事を始めて3年目くらい。勤めていた老健が訪問介護と訪問看護を併設で始めるという話があった時だった。

副所長から、何も教えられずに「やってみろ」と言われ、県のサイトで必要な書類を調べ、書式をダウンロード。しかし運営規程の雛形は県のサイトにはなく、モデルを探してきて、それを参考に、理念やら目的やら、自分が思うところを大きく盛り込んだものを作った。

だが副所長から、「固有の情報以外はモデルのままでいい」といわれ、作り直すこととなった。

今ではその理由がよく分かる。書類を審査する行政の職員は、その事業所の独自性になど興味はないのだ。必要なことが書かれていればいいのであって、余分な記述があると却って面倒なことになる。

その結果、運営規程も契約書も重要事項説明書も、どこの法人、どこの事業所であってもほとんど変わらないものになっている。
そんなことならいっそ、固有の情報は契約書や重要事項説明書に任せて、「運営規程は標準書式を準用します」とか「法令を遵守します」とか書いて判子押しとけばそれでいいんじゃないかと思ったり。
わざわざ作る意味があるのかと。

それに、開設前の指定申請の段階で全スタッフが揃っており、「従業者の勤務の体制及び勤務形態一覧表」を正確に作れるなんていうことはまずない。「このくらいの人数でやっていこうと思っています」という程度のものにしかなりようがないので、それを見て配置基準を満たしているかを審査するというのも何なんだろうなあ……と思う。
もちろん、こうした勤務表のモデルや運営規程などを見ることで、事業者が法令を正しく理解しているかどうかのチェックはできるわけだから、意味がないことはないのか。そーかそーか。<自己解決

ところで件の訪問介護と訪問看護の事業所は、結局は副所長が書類を完成させて指定申請、無事指定が下りたんじゃなかったかな? そこまで私がやった記憶がない。
まあ、指定は取ったものの、いつまで経っても労力をそちらに割り振れず、人手も集まらず、やむなく休止届を出したように記憶している。トップの鶴の一声だけで始めた事業なんてこんなものだ。

今回は指定申請の前段階の審査なので、決まり切った書式とは別に、ちゃんとうちの独自性もアピールしなければならない。
その部分は私でなく別の職員が作っているはずなのだが、さてどうなっているか。私も楽しみだ。

わかりやすくしよう

 介護保険制度は、お世辞にも一般の方々にわかりやすい制度とは言えない。そもそも、定められている算定項目の名称(○○費とか、~~加算とか)からしてわかりにくい。
 我々でも、自分が直接関係していないサービスに関しては、「これとこれの違いって何だっけ?」と戸惑うことがあるはず。
 
 まず「○○○○○○費(Ⅰ)」「○○○○○○費(Ⅱ)」といった表記。居室の定員や規模などによってⅠとかⅡとか変わってくるわけだが、請求書には必ず記載されているであろうこの用語について、ローマ数字部分も含めて正しく理解されている利用者さん、ご家族さんはいるのだろうか?
 
 デイの機能訓練の「個別機能訓練加算(Ⅰ)・(Ⅱ)」もそうだ。なぜ「基礎体力維持回復訓練加算」と「日常生活行為自立訓練加算」とかにしない?
 
 ……いや、これも小難しいか。
  「日常」とか「機能」とか「行為」とか、簡単なようでいて曖昧な言葉も避けた方が良いような。
 そう言えば特養の「日常生活継続支援加算」も、医療機関での「療養」でなく特養での「生活」を継続することを支援、という意味で言っているんだろうなと推測はできるが、まんま「重度化対応加算」の方がはるかにいいのではないか。
 もしくは「療養機能強化加算」でもいいかも……あ、やっぱり「機能」という語に頼ってしまった(^-^;
 
 「サービス提供体制強化加算」だって、ローマ数字で分けるより、内容そのまま「介護福祉士配置比率加算」「常勤職員配置比率加算」「勤続年数評価加算」でいいと思うし。
 
 「介護職員処遇改善加算」もねえ……みなさま利用者さんたちへの説明に苦労されたことでありましょう。
 こんなことならさっさと本体報酬に包括して、算定要件とされているものは全て義務化し、行っていないところは逆に減算とすればいいのにね。