誤飲と異食

本日、サービス担当者会議を1件行った。
うちの施設のケアプランは、担当が原案を作成し、それを私がチェックした上でサービス担当者会議にかけられることになる。

その原案に「誤飲をしない」という文があった。
その方はティッシュペーパーを口に入れようとしたことがあったので、それを指しているのだということはすぐに分かったが、私は「誤飲」という言葉に何か違和感を覚えた。しかしその理由が自分でもよくわからなかったので、敢えてそのままにしておいて会議の出席者に聞いてみた。

やはり「異食」という言葉の方がしっくりくる、とのことだった。

個人的には、「誤飲」というと、乳幼児が飲食物でないものを口にしてしまうイメージがある。だが、だからといって認知症高齢者の行動には相応しくない理由にはならないだろう。
たぶん、「飲」という文字が液体を連想させるからだと思う。

しかし「異食」という言葉もまた、私にとっては違和感を感じさせるのだ。

「異食症」というと、食べ物でないものが無性に食べたくなる疾患を指す。
よく、妊婦が風変わりなものを食べたくなるというが、これも異食症と言えるかもしれない。身体が特定の栄養素を欲しているから、ということもあるようだが、純粋に精神疾患によるものもありそうだ。

認知症の方が食べ物でないものを口にしてしまうのを「異食」と呼ぶのは、介護業界の慣例のようなものではないかと思う。当たり前のようにご家族さんたちに使うのは気を付けた方がいいかも、と思ったのだった。

ところで、異食と言えば一つ印象深い判例がある。特別養護老人ホームに入所していた認知症の方が、紙オムツを口に入れて窒息し、遺族の方が裁判を起こしたものだ。

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20120117133202.pdf

以前にも紙オムツを口にしていたにもかかわらず対策が充分でなかったとして、施設は1,770万円の支払いを命じられた。
判決文を読むと、「布おむつを使うべきだった」などとあって、確かにそういうことになるのかなと思わせる部分もある。また事故後の施設の対応にも拙かったところがありそうだが、これは判決文だけから判断するのはフェアではないだろう。

それにしても身体拘束とされているつなぎ服の着用に対し、「つなぎ服を着用させることを怠った」と言われてしまうと、身体拘束ゼロに取り組んでいる我々介護従事者の努力は何なんだろうと思う。
また「少なくとも15分に1回巡視する義務を負っていた」ともあり、これも厳しいと思う。

介護事業所や職員に過失があれば、それを補償するのは当然である。
しかしこうした訴訟が増えれば、事業所はリスクの高い方を受け容れることを躊躇うだろうし、身体拘束廃止に取り組む意欲もなくなるだろう。
その結果不利益を蒙るのは、未来の認知症の方とそのご家族さんに他ならないのではあるまいか。

利用者さんが、おかしいと思えば訴訟を起こすのは当然である。
必要なのは法の専門家の正しい判断ではないかと思うのである。

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誤飲と異食」への1件のフィードバック

  1. 確かに厳しいですね。少し違いますが、認知症の方が電車事故起こして、電鉄会社が勝訴したこともありますね。
    認知症の方は、監禁されてないといけないのか? なにをするにも、リスクが高くなりすぎないか?

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