I君チャート

大学のサークルに、I君という後輩がいた。

彼は確か数学科で、人付き合いが得意なタイプではなかった。またアルコールに極端に弱く、酒の席でビールを数口飲んだ程度で酔い潰れていたのを覚えている。

ある日、彼の持ち物から1枚の紙が発見された。そこには、サークルの部員たちの氏名がグラフ上に配置されていた。
確か、y軸に「良い-悪い」、x軸に「役に立つ-役に立たない」という基準があてがわれていたように記憶している。ちなみに私の名前は中央付近の当り障りのない位置であった。私は善人でも悪人でもなく、毒にも薬にもならないのだな……と苦笑したものだ。

他人、しかも先輩までもに、そうした評価をするのはけしからんと怒っていた者もいたが、私は単に面白がっていた。そこに記されていた評価自体には必ずしも共感できなかったが、対人関係を苦手とする者が周囲の人間をどう捉えているのか、その一端が見えた気がしたからだ。

彼は社会への適応という点では問題があったが、学問においては優秀であった。大学院に進んだという話は聞いたが、それ以降、今はどうしているのか。
私たちサークルOBの中にそれを知る者はいないようである。

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