特定施設は多剤投与が多い?

6月の話になるが。
厚生労働省の中央社会保険医療協議会において、医師配置義務のない有料老人ホームの入居者は、特養や老健入所者に比べて服薬している薬剤数が多いことが報告された。

厚生労働省 中央社会保険医療協議会 総会 (第243回)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000033s56.html
(このうち、外来医療について(その2)に該当箇所あり)

全国老施協のJS-WEEKLY 388号より表を転載させていただく。

1382006069

7種類以上の内服薬を使用している者の割合は、特養が25.5%、老健が24.8%であるのに対し、特定施設では40.0%となっている。また特定施設では11種類を服用している者が約一割いる。
また1人当たりの内服薬数は、特養が5.0剤、老健が4.8剤に対し、特定施設では6.3剤とのことだ。

これは別に驚く結果でも何でもない。
まず、薬剤数が最も少ないのは老健だが、この理由は、①老健には医師がおり、他科受診は厳しく制限されているので、同じような薬剤の重複投与はまず起こらないこと、そして②薬剤費はごく一部の例外を除いて老健の負担になる(いわゆる「まるめ」というやつ)ので、老健としてはなるべく薬を減らしたいこと、である。

特養にはこうした制限はない。しかし、嘱託医以外の診療機関への受診となれば、対応するのは施設職員であり、そこで料金を徴収することはできないとなると、受診はなるべく控えてもらいたいと考えるのは致し方ないだろう。この結果、複数科を受診することによって多くの薬剤が処方されることは少なくなる。

これに対して、特定施設では、受診時の対応は家族が行っても良いし、実費を徴収したうえで施設職員が行っても良い。受診までのハードルが格段に低いのである。
医師にしても、もし自分の治療が気に入られなければ主治医を替えられてしまうのだから、本人や家族の希望はなるべく受け容れようと考えるだろう。

こうした事情があるのだから、単純に薬剤数を比較しても、その結果は重複投与や本来必要のない薬剤の使用が多いことを示すのか、それともより適切な医療を受けられていることを示すのか、それは全く判断できないはずだ。要介護高齢者に適した薬剤数は平均で一人当たり○剤である、という研究結果を得ない限り。

とは言っても、実際のところは。
うちの施設でも、私のような素人目には必要がないと思われる薬剤を使用している方は少なくない。これは決して看護師による管理が杜撰だからではない。本人や家族による希望があればそれを強く引き止めることはできないし、受診先で薬が処方されれば、それはもう使用するしかないのだ。

医療費抑制の観点から見ても、要介護高齢者の心身への影響から見ても、薬は減らせるならば減らすに越したことはない。しかし我々だって精いっぱいやっているのですよ、という特定施設からの話である。

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