【書評】佐藤眞一 『認知症「不可解な行動」には理由がある』

我々のような専門職向けではなく、一般向けに書かれた本である。著者は心理学者とのことだ。

まず「認知」や「記憶」とはそもそも何なのかを丁寧に解説するところからスタートしており、これは一般の人の理解の助けになるだろう。
とはいえ実のところ、介護従事者でも「認知」や「記憶」とは何なのかがよく分かっていない者が多い。(だから「認知症」を「認知」と略すことが広まっていたりするのだが、それは余談。)
認知症ケアに携わる専門職は、押さえておくべき内容だと言える。認知のメカニズムと、認知症によってどんな働きが阻害されるのかがわかっていないと、アセスメントしても、その方への理解には至りにくいからだ。

世に認知症の方への接し方を説いている本や小冊子は多いが、心理学の立場からこれだけ丁寧に、事例を用いて分かりやすく説明しているものはあまりないだろう。少なくとも私は初めて見た。
また認知症の方の「不可解な行動」への具体的な対処法が示されている点も良い。それらはよく言われる方法だったりもするのだが、何故そうするのが良いのか、その理由が示されているだけに説得力もある。バランス理論が用いられていたりするのもユニークだ。

実際のところ、認知症に関する研修のテキストにもなり得る本だと思う。ただ「アセスメントすれば答が見えてくる」と繰り返し、センター方式などのアセスメントのやり方を学ぶだけの研修より、この本を読んだ方が良いとさえ言える。

一般の方というより、むしろ専門職にお勧めしたい一冊である。

(評価:★★★★☆)


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