清掃と介護

私が最初に勤めた100床の老健では、居室も含めた施設内の清掃は委託された業者が行っていた。
介護職員が清掃をするのは、食後に食堂の床をモップがけするのと、あとは放尿や排泄の失敗があった時くらいだった。だから、介護の仕事に清掃が含まれているという意識はあまりなかった。

しかし小さな施設ではそうも言っていられない。清掃も介護職員の、と言うより全職員の仕事である。
うちの施設では、朝食が済んで日勤者が出勤してくる8時半からの1時間が清掃の時間である。食堂、廊下、居室の他、事務室や玄関まで一斉に掃除する。

居室は、介護職員がトイレと洗面台、台所職員が床を担当する。残念ながら決して充分とは言えない。トイレの床には髪の毛が落ちたままになっていることがよくあり、床はベッドの下は埃まみれである(ベッド下部はモータやシリンダなどが床近くまで出ているので、掃除機やモップが入りにくく、致し方ない面はあるのだが)。また、棚の上などは手付かずなので、埃がたまってしまうこともある。

掃除をあっという間に終えてしまう職員もいるため、手を抜かれているのは確かだが、と言って張り切って綺麗にしようと思えば、1時間ではとても終わらないのも事実である。本当は、その時間には最低限すべきことだけを行い、棚の上を片付けたり拭いたりといったことは、時間ができた時にささっと行うのがスマートなやり方だろう。私も以前に勤めていた住宅型有料老人ホームではそれができていたつもりだが、いまではすっかり普段の仕事の中では思いつかなくなってしまった。慣れとは恐ろしいものだ。

もっとも、今の施設では、台所と兼務ではあるが清掃や庭の手入れなどをしてくれる職員もいる。これが実に助かる。この人がいなければ、うちの施設はもっとあちこちが汚れてしまっていることだろう。

それにしてもうちの施設は、食後に床を掃いたり拭いたりすることもなければ、清掃の時間外に、例えば洗面台をきれいにするといったこともない。
高齢者は多かれ少なかれ食べこぼしをするものなので、こまめに清掃しないと汚れが広がり、こびりついてしまう。また、洗面台を綺麗にしていると、訪問者の印象が大きく違う。

私もかつては現場に入っている時には、必ず食後には床を掃き、手が空くと洗面台、特に鏡を拭いていたものだが、最近は忘れがちである。
こうした美化への意識は、介護とは関係ないようでいて、実は深く関わっているのだ。自分の働いている環境が汚れていても気にならないということは、自らの所属意識が低いことを示しているし、またそこで暮らしている方と自分とを重ね合わせることができず、「自分ならこうして欲しい」「自分ならこうされるのは嫌だ」という気持ちになって考えることができにくくなる。

いかんなあ、と思った次第。

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