何故介護に専門性が必要なのか、という話

私が考える介護の専門性については、エントリ「介護の専門性」などで書いたが、そもそも何故介護に専門性が必要なのだろうか。

前掲したエントリでは、「介護の仕事は無資格でもできる。そのことによる『誰にでもできる仕事』というレッテルを剥がすためには専門性を確立する必要がある」というようなことを書いているのだが、実のところ、それだけではない。

つまり、「介護が医療の下請けから脱却するためには独自性を必要とする」という問題である。
独自性を確立しなければ、介護職員は医師>看護師>介護士というヒエラルキーに取り込まれてしまう。そしてこの階層構造からは、どれだけ経験を積み、またその過程で資格を身に付けても、抜け出すことはできない。
若ければ学校に入り直し、看護師や、理学療法士/作業療法士/言語聴覚士の資格を取得することもできるが、ある程度歳を取っており、学校に通えるほどに経済的に恵まれていなければ、いつまで経っても最底辺のままということになってしまう。

例外は、「管理者以上になること」だけである。
これは実のところ、看護師には却って難しい。看護師はどこも人手が足りていないために、事務室に入って管理職になるためのキャリアを積む機会を与えられない。
この点で逆に有利なのは、大卒の学歴を持つ介護士/相談員である。現場の人間から見たら無能以外の何者でなくとも、経営者からは違う目で見られたりするものだ。
私はこの仕事を始めて2年ほどで、100床の老健で施設長(医師)、副施設長に次ぐ地位を得た。看護師や理学療法士、作業療法士よりも上の立場になったわけである。しかしこれは私が介護の現場の中で優秀だったからでは決してない。だから自慢できることでも何でもない。

ここで、「ならば看護師に馬鹿にされないくらいの知識を身に付けよう」と考えることは間違っていない。しかし、それは医療という同じ土俵の上で張り合うという意味ではない。「生物としてのヒト」へのケアを基礎として、その上に、「人間としてのヒト」へのケアを成立させるためである。

医療は介護にとって、重要ではあるが、一部でしかない。そう言える日が来るといいと思うのだ。
そのために必要なのは、医療を軽視することではなく、医療の基礎をしっかりと身に付けることなのではないだろうか。

広告

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中