MRSA

介護施設での感染予防対策というと、インフルエンザやノロウイルス、B型・C型肝炎ウイルスの他に、MRSA(Methicillin-resistant Staphylococcus Aureus、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)も代表的なものとして挙げられる。
これは、メチシリンだけでなく多くの抗生物質に耐性を持つブドウ球菌のことであり、様々な感染症を引き起こす。菌自体はどこにでも、特に多くの人の鼻腔に常在していると言われる。
抵抗力が著しく低下している人でなければ感染症状を引き起こすことはない。病院では抵抗力が低下していたり、身体を大きく侵襲される手術を受ける方が多いため、集団感染が問題となることもあるが、高齢者施設での集団感染の例は聞かない。

「高齢者介護施設における感染対策マニュアル(平成25年3月)」では、以下のように記載されている。

高齢者介護施設においては、これらの耐性菌を保菌している人が入所している可能性がありますが、通常の入所生活においては保菌者に対して制限を設けたり、特別扱いをする必要はありません。むしろ保菌者に対して過剰の対応をすることで、差別につながらないよう注意する必要があります。

保菌しているだけであれば、接触感染を防止するために日常的に手洗いをする程度で良い。咳や痰などがなければ、個室管理の必要もない。

感染症状があるときは、個室管理を行う。空調は必要なく、ケア時には手袋をする。手洗いを励行、医療器具はできる限り個人用にする。汚染物との接触が予想される時はガウンを着用する。

さて、うちの施設の入居者さんで、入院時の検査でMRSAが検出された方がいる。
誤嚥性肺炎で入院され、退院後も咳や痰が出ていて吸引の必要があるので、食堂ではマスクを使っていただくことになった。
その他、上記の感染症状に対する対応を行っている。

かつて老健に勤めていた頃は、今よりも厳しい対応をしていたと記憶している。
感染症状がなくても個室対応とし、その際の個室料金も徴収していた。

また入浴の順番を最後にすることを徹底していたが、これは病院でも同様の対応を行っているところがあるので、仕方がないというところかもしれない。

ただ、これらの対応の意味と効果には疑問がある。
MRSAの検査は、全入所者が定期的に受けているわけではない。つまり知られざる保菌者は多数いると思われる。入居者、職員を問わず。

もちろん、そんなことは皆が承知しているのである。
感染予防対策は、それが感染を防ぐために必要だからしているのではなく、施設として、自分たちはちゃんとやっていますよというアリバイ作りのためのものという意味合いもあるのだ。エントリ「二酸化塩素」でも書いたように。

もちろんスタンダードプリコーション(エントリ「感染症から身を守る」参照)は必要だ。そしてMRSAも、これを徹底していれば(それが医療施設である病院ならともかく、介護施設では簡単ではないのだが)、保菌者への対応は充分なのである。

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