見守りと付き添い

とある職員から尋ねられた。「歩行の『見守り』と『付き添い』って違うの?」と。
確かに私のケアプランでも、「見守り」と書いている場合と、「付き添い」と書いている場合がある。両者に違いはあるのか? というのがその職員の疑問だったようだ。

正直言って、考えたこともなかった。何となく使い分けていたとしか言いようがない。
これについての考察をここに書き留めておくことが、後の自分や、これを読んでくださっている方の役に立つとは思えないのだが、せっかく考えたので書いておこう。
こういう抽象的な言葉全てに技術的な意味を与えるのがマイクロケアだからだ。

まず、広辞苑(第五版)ではこうある。
(「見守り」は収載なし)

み‐まも・る【見守る】
① 見て番をする。事が起らないように注意して見る。「子の成長を―・る」
② じっと見つめる。熟視する。「衆人の―・る中での離れ業」「成行きを―・る」

つき‐そい【付添い】
つきそって世話をすること。また、その人。「親の―が必要」「―人」

つき‐そ・う【付き添う】
① ア 貴人のそばにつき従う。かしずく。
イ 病人・子供などのそばに付いていて、世話をする。「―・って行く」
② 付随する。付属する。狂、宝の笠「これに―・うた隠れ蓑、打出の小槌は方々の大名衆へ買ひ取らせられに」

まずは一般論として考えてみよう。
「見守り」は見ることが主であり、「付き添い」は傍にいることが主、と言えそうである。実際、私も、「見守り」は注意、心がけとして、「付き添い」は行動として使っている。

介護においては、「付き添い」は対象者の傍にいることが求められるが、後者は必ずしも近くにいるとは限らない。食事の際に、少し離れたところから観察する場合でも「見守り」である。

また、援助の内容の違いで考えてみると、「見守り」は身体介護であり、「付き添い」は行動支援であると言えよう。
仮に「トイレに付き添う」だと、一緒にトイレに行きはするが、そこで職員が何もしなくとも成立する(ように私には思える)。しかしそれでは意味がない。なので、排泄ケアについては「見守り」という言葉を使う。
一方、近所の店への買い物などは、歩行状態が悪くなければ、常に注視し、転倒に備えておく必要はない。しかし、お一人で階段などの危険な場所に行かれてしまったり、施設外で交通事故に会う危険などは考慮せねばならないので、職員は傍らにいる必要がある。これは「付き添い」だ。

さて、そこで冒頭の、歩行の「見守り」と「付き添い」である。
歩行については、離れたところから身体介護として見守っていても意味はない。ふらついたときに支えることもできないからだ。そのため傍らにいる必要があり、常に、転びそうになったときには支えられるように心身両面で備えている必要がある。こうしたときには、「歩行の見守り」とする。
しかし、そこまで歩行自体に問題がなければ、職員は傍で不測の事態に備えていれば良い。このときには、「付き添い」とする。

「見守り」と「付き添い」は、適切なリスク管理と自立支援の両面から、はっきりと区別しておく必要がありそうである。

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