医療用麻薬適正使用ガイダンス

Twitterで、とある在宅診療医の方がツイートしていたこと。
有料老人ホームで末期癌の方を看取ることになったのだが、施設長から「介護スタッフが医療用麻薬を服用させることはできないので、レスキュードーズが必要になったら、医師が往診しなければならない」と言われたとのことだ。

形として又聞きなので、その施設長の真意は分からない。しかし本当にそう考えているとしたら、いささか情けない話だ。もしかすると、看取りなどやりたくないという意思表示なのかもしれない。
介護職員が医療用麻薬を服用させられないなどということはない。

平成24年3月に、厚生労働省より『医療用麻薬適正使用ガイダンス』が出されている(http://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/yakubuturanyou/other/iryo_tekisei_guide.html)。
ここに、介護施設で管理する場合についての記述がある。それほど長いものではないので、抜粋して引用する。

7 自宅以外の療養場所における麻薬の管理について

患者の療養場所が介護施設※であっても、医療用麻薬の保管・管理は基本的に自宅と同様である。医療用麻薬は痛みを緩和するために用いる薬剤であることに主眼をおき、過度の管理によって患者が痛みに苦しむことの無いよう配慮する。
① 患者に交付された医療用麻薬の保管・管理にあたり金庫を用いる必要はない。
② 施設内の患者の居室ではない部屋で施設職員が薬剤を一括管理しているような場合においても、医療用麻薬も同じ場所で保管・管理して差し支えない。他の施設利用者の薬剤と混同しないよう氏名を記入した紙片を付したり一包化包装には氏名を記入するなどして識別できるようにしておく。
③ 医療用麻薬を患者の居室に保管する場合でも、金庫を設ける必要は無い。ただし、他の施設利用者が不意に居室に入るおそれがあったり、患者自身の認知機能低下などにより誤用するおそれがある場合には居室以外の場所で施設職員が管理してもよい。その際、患者が痛みを訴える場合には速やかにレスキュー・ドーズを服用させることができる介護環境づくりができるよう指導する。
④ 患者だけでなく施設職員にも用法や誤用の際の連絡方法などを伝えておく。
⑤ 使用済みあるいは不要となった医療用麻薬の回収又は廃棄についても施設職員に伝えておく。

※介護施設:介護老人保健施設・特別養護老人ホーム・介護付有料老人ホーム・グループホーム・ケアハウス・高齢者専用賃貸住宅・小規模多機能型居宅介護施設等(ショートステイ含む)

と、管理はこの程度で良いことになっている。
直接、介護職員が服用させることの是非については触れられていないものの、その他の薬と分けて考える必要がないことが示されているのだから、その他の薬の服薬介助はできるのに医療用麻薬は不可、とする理由はどこにもないはずだ。
介護職員が服薬を介助できなければ、「患者が痛みを訴える場合には速やかにレスキュー・ドーズを服用させることができる介護環境づくり」など、例えば高齢者専用賃貸住宅でできるわけがない。入居者さんが痛みに苦しみ出したとき、それから医師や訪問看護師に連絡し、来るのを待っているようでは、ご本人さんの苦しみは長引かされてしまう。

どうしても介護職員には服用させられない理由があるのなら(それが例えばどういうものか私には想像できないが)、最初から看取りなどできませんと言うべきではないか。

それにしても、こういうわけのわからないことを口にしたりするから、介護事業所は医療関係者から見下されるのだ。入居者さんの利益を第一に考え、それを克服する方法を考えさえすれば、簡単に見つけられる情報のはずである。

多くの入居者さんとご家族さんは、最期まで安心して暮らしていける場所を求めている。それに応えるためには、看取りは決して避けては通れない道なのである。

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