「ありがとう」と言われること

なぜ介護の仕事が好きなのかを語る時に、「『ありがとう』と言ってもらえると嬉しいから」と言われることがある。

なぜ、感謝されると嬉しいのか。
人は他人の役に立っていると思いたいものである。自分の存在に意味を与えることができるから。これは、マズローの言う「承認の欲求」と言える。

承認の欲求は、大きく2つに分けられる。他者からの承認と、自身による承認。前者の方が下位であり、つまり前者がある程度満たされないと後者は現れない。
ということは、マズローによれば、他者からの承認(感謝もその一つだ)を求めている段階は、充分ではないことになる。その段階をクリアして、自分で自分自身を認められるようになることが望ましいわけだ。

また、利用者さんからの感謝の言葉に重きをおき過ぎるのも問題だ。
感謝の言葉を素直に受け入れるのは悪いことではない。しかし、「ありがとう」は本心からの謝意ではなく、単なる社交辞令ということもある。利用者さんは職員に対し「日頃お世話になっている」と感じがちなものだ。それに対し、「相手は喜んでくれている」と思い込んで、その奥に潜む本当の感情を見逃しては拙い。

また、無意識にしろ、感謝を求めるようになるのもよろしくない。特に認知症の方は、こちらが良かれと思ってしたことによって、却って怒ることなど日常茶飯事である。おかずが固くて食べられないと言われたため、細かく切ったら「何でそんなことするの!」と言われてしまうとか、「味がない」と言われたので海苔の佃煮をお出ししたら「しょっぱくて食べられない」と言われてしまうとか。
こうしたときに、感謝がないことに失望し、「もう親切にしてあげるのはやめよう」などと考えるべきではない。「感謝されなくても、自分がやるべきことをやろう」と努力するべきなのである。

単なる自己満足にならないよう、常に客観的に自分自身を眺めながら。

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