接客

先日から、ブログの左カラムの一番下に「My Shopping List」として、私がこれから買うもののリストを置いてある。
そのリンクから購入することで、自分が買っても自分のところにアフィリエイト料が入るようにしたわけだ。そのせいで介護に関するブログなのに、介護と全く関係ないDVDやCDなんかの商品ページへのリンクが貼られているわけだが、どうかご容赦を。

現在そのリストの一番上は下野隆祥の『世界一のサービス』という本である。接客業としての介護というのを改めて考える材料になるかと思い、読んでみようと思った。

私が以前勤めていた法人は、接客に力を入れていた。それが全てだったと言っても良い。
その前の職場で、あまりの殿様商売ぶりに嫌気がさし、「このまま自分はここにいても成長できないし腐っていく」と思い、接遇に力を入れている所へ移ろうと決めていた。

その法人のデイサービスは、高級なレストランのようであった。

職員の仕事は、朝、テーブルのセッティングなどからスタートする。
「今日は○○さんが来られるから、きっとこのあたりに座るだろう。お気に入りの椅子はここに置いておこう。その後でお友だちの○○さんが来たら、こちらに誘導しよう。週刊誌と、フットマッサージ機はこのあたりに置いておけばいいだろう。○○さんはこのあたりに座るかな。この間もらったお花を飾っておけば喜んでいただけるだろう」
といった具合である。そして花を切り戻したりしながら、花瓶に挿し、テーブルや下駄箱などに飾っていくのだ。
それと、前日に洗濯して干しておいた、トイレで手を洗った後に拭くハンカチ(むろん一回使用したら洗濯するので、膨大な枚数である)を畳んでトイレに配る、などという作業もあった。

利用者さんが到着すると、手の空いている職員は全員お迎えに出る(これは当たり前のこととして多くのデイでやっているかな?)。そして席に着かれたら、すぐに飲み物(コーヒー、紅茶、緑茶、ココアなど)をお出しするのだが、各々の利用者さんの嗜好は一度で覚えることが求められた。この方はコーヒーはブラックで、この方は砂糖だけで、またこの方は少しぬるめで……といったように。スプーンや砂糖などをソーサーにどのように置くかということまで決められていた。

昼食も力が入っていた。介護事業所で出される食事と言えば、食べ物を盛りつけた食器をお盆に全部載せておき、お盆ごと配膳してそれで終わり、というのが普通だろう。しかし、そこのデイサービスでは違っていた。
おかずは一汁四菜。肉か魚かを選んでいただくメインディッシュは1つの皿だが、煮物や和え物などの小鉢は一人前ずつ箱に入れ、冷めないように蓋がされている。まずはその箱を利用者さんのところに配り、次いでメインディッシュ、最後にご飯と汁物をよそって、熱々のうちに利用者さんのところへお持ちするのである。
おかずの小鉢が箱に入ったままだと食べにくい方もいるので、そういう方には箱からお出ししてあげた。食べている最中も、常に気を配り、お皿や小鉢を並べ直したり、食べ終わった食器が邪魔であると思えば素早く下げた。

また、食堂には職員が腰を下ろす場所が一つもなかった。
食事介助は目線を利用者さんと同じ高さにすることが重要だが、自分も椅子に座っていなければそれがやりにくい(ずっと中腰でいることなどできないし、立ったままで上から介助するわけにはいかないので、傍らに跪くしかない)ので、さすがにそれはどうかと思ったが、そうして食事介助に1対1で付いている職員以外は、立ったままでフロア全体を見渡し、ウェイターのように動くのである。

同性介助は当たり前、言葉遣いも完璧な丁寧語である。
ここまで介護をサービス業として徹底したところは、少なくともうちのような田舎では他になかった。それで食費などの料金は周りのデイサービスと同程度。決して高いお金を取っていたわけではない。
私はそれを誇りに思っていたところもあった。

にもかかわらず、私がその法人を飛び出した理由は、理事長による利用者の選別志向と、言うことをころころ変えることが許せなかったからである。言っている内容だけならまだしも、サービスの内容や料金をしょっちゅう変えられるのでは、利用者さんはたまったものではない。まあ、このことは詳しく書いても仕方がないので書かない。

そして今度は、看取りができる家庭的な施設がいい、と思って今のところに移ってきた。

今日のエントリは、私はこういうところで勤めていました、という思い出話でしかない。
だが、接客の重要性、つまり顧客のことを知りそれに合わせるということの大切さは、何もホテルやレストランのようなサービスにおいてのみ生きてくるわけではない。介護施設にも、介護施設ならではの良い接客というものがあるはずだ。

それを考えてみようかと思ったのである。

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