薬の名前

この仕事を10年近くもやっていると、嫌でも薬の名前が頭に入ってくるものだ。

実際のところ、介護職でも薬の名前については、ある程度は覚えていると役立つことがある。診断書や診療情報提供書などに記された薬について知りたい時には、中途半端な知識から判断するよりも本やネットでその都度調べるべきだが、例えばインテーク面接に出向いた先で薬の名前を情報として得た時に、多少の知識があれば、その場でなぜこの薬を飲んでいるかなどを訊ねて、それまで聞いていなかった既往歴や経過の情報を引き出すことができたりするのである。

基礎的な知識のない我々が、薬の名前を機械的に覚えるのはなかなか大変なものだ。
しかし名前からある程度効用や成分が推測できることもあるので、今日はそれについて書いてみようと思う。

ただ、くどいようだが介護職にとって薬はあくまで職域外であるから、生半可な知識から判断を下すことは危険である。
さらに、これを書いている私も医療職ではないので、以下の記述には誤りもあるかもしれない。正確な情報が必要な時には、必ずそれなりの方法で調べられることを強く勧める。

で、本題。薬のネーミングについてである。
《効用系》《成分系》《ダジャレ系》の3つに分けた。最初に示している「ウリ*」などの「*」の部分は、複数の文字列が当てはまる、いわばワイルドカードである。

《効用系》
1. 「ウリ*」「ウロ*」
尿(Uro)から来ていると思われる。
頻尿を改善する薬のウリトス、ウロステート、ウロナベリンと、尿酸を下げる薬のウリンメット、ウロアシス、ウロリープの2つの群に大別される。 
また保湿ローションのウレパールは尿素が含まれているので、やはり同系統のネーミングだろう。

2. 「ガス*」
胃(Gastro)から来ていると思われる。ガスイサン、ガスセプト、ガスター、ガスドック、ガスポートなどは成分がファモチジンで同じ。
しかし例外も当然ある。ガスモチンはいかにも名前の由来がガス+ファモチジンかと思いきや、胃薬ではあるが成分はモサプリドクエン酸塩散。またガスコンはガス(Gas)をコントロールする(放出させる)からという意味で付けられたのではないかと思われるが、あくまで私の勝手な想像。

3. 「カル*」
降圧剤が多い。マニジピン塩酸塩のカルスロット、ドキサゾシンメシル酸塩のカルデナリン、カルドナン、カルバドゲン。カルネート、カルバンも成分は違えど降圧剤である。
が、なぜ「カル」なのかよくわからない。全てがカルシウムチャネル拮抗剤というわけではないし……

4. 「セレ*」「セロ*」
脳(Cerebrum)から来ていると思われる。向精神薬、抗てんかん薬など。成分や効用はそれぞれ違うが、セレナール、セレネース、セロクラール、セロクエル、セロニカなど。
が、「セレ*」は例外も多いので注意。

5. 「ミオ*」
筋緊張を和らげる薬が多い。ミオナール、ミオナベース、ミオペリゾン。これもなぜ「ミオ」なのか私にはわからないが。

6. 「ムコ*」
粘液(muco)から、痰を切れやすくする薬が多い。ムコキール、ムコサール、ムコソルバン、ムコダイン、ムコチオ、ムコトロン。
ムコキールはムコを切る、ムコサールはムコが去る、ムコトロンはムコを取ろう、で下のダジャレ系の分類でも良いかもしれないが、全て私の勝手な想像である。

《成分系》
1. 「クラリ*」「クラロ*」
抗生剤のクラリスロマイシン製剤。クラリス、クラリシッド、クラロイシン。
しかし例外としてクラリチンは抗アレルギー剤。

2. 「チア*」
脳梗塞後遺症後の精神症状、パーキンソン病のジスキネジアの改善の効用があるチアプリドであるチアプリム、チアラリード、チアリール。
チアトンなど例外もいくつかあるので注意。

3. 「ドパ*」「ドプ*」
ドパミンから来ている。
レボドパ(ドパミンの前駆物質)のドパストン、レボドパ+カルビドパ(レボドパが脳内に入る前に変化することを防ぐ)のドパコール、ドロキシドパ(ノルアドレナリンを増やす)のドプス。

《ダジャレ系》
1. カロナール:熱や痛みが軽くなる⇒かろうなる⇒カロナール?

2. カタクロット:これは確信がないが、血が固まるのを防ぐ薬なのでダジャレ系で合ってる? とすると「ロット」って何だろう?

3. グッドミン:グッドな睡眠?

4. スベニール:関節が滑る?

5. ベンコール:便を呼んで(コールして)いる?

6. ヨーデル:便がよう出る?

薬の名前を見ていて思うことは、やたらラ行、ラリルレロが使われていることだ。
日本人にとって、ラ行はイメージが良いのかもしれない。

実際、マスコミの言うキラキラネーム(ネットで言うDQNネーム)もラ行が多い。
私は、日本でラ行の名前が非常に増えたのは、高橋留美子の影響ではないかと思っている。少なくともマンガの世界では、『うる星やつら』以前と以後では、登場人物のラ行の多さが飛躍的に増えたように思える。だがそんな古いマンガをタイムリーで読んでいたわけではないし、調べたわけでもないので事実無根かもしれない。

と最後は全く関係のない話でこのエントリは終了するのであった。

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薬の名前」への1件のフィードバック

  1. 降圧薬が「カル〜」からはじまる事が多いのは、カルシウム拮抗薬のカルを取ったものと、心血管系の英語「Cardiovascular system」のカルをとったものがあるためです。
    筋弛緩薬に「ミオ〜」が多いのは、ラテン語や英語において筋肉を異味する接頭辞「mio-」に由来します。
    また、筋肉の収縮を行っているタンパク質にミオシンというものがあるのですが、そこから取っているものもあるかもしれません(元を辿ればミオシンの名前も前述の接頭辞が由来)。

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