入院が認知症を進行させる

コロンビア大学の研究によると、ICU(Intensive Care Unit、集中治療室)に入ったことのある高齢者は、その後認知症を発症する割合が高かったという。

ICU Stays Linked to Dementia
http://www.dailyrx.com/dementia-was-more-likely-elderly-people-who-had-certain-experiences-icu

調査はICUへの入院から3年後に行われているため、もともと高い年齢の人を対象に行われているようだ。だから若い頃に一度でも入っていればその後に影響する、などというわけではないし、発症率も4%ほど上昇しているだけのようである。

ICUは病院内でも隔離された空間で、その性格上、高度な医療機器や衛生設備も多く、無機質な場所である。そこに入って治療を受ける人は、自分の病状への不安とともに環境のストレスも強く感じるだろうと思われる。環境への適応能力が低下している高齢者であればなおさらだ。

ICUに限らず、「入院を境に認知症が進行した」という話はよく聞く。
身体機能についても低下するのが普通だが、こちらは比較的可逆性がある。骨折などしていれば元通りというわけにはなかなかいかないが、廃用によるものであれば、時間はかかるが入院前のレベルまで回復されることも少なくない。しかし認知症はそうはいかない。

拘禁反応という言葉がある。留置場や刑務所など自由を制限された場所で現れる精神症状のことだ。
高齢者、特に見当識や理解力が低下している認知症高齢者にとっては、治療のために自分が今病院にいるということが分からず、その場にそぐわない言動をして身体を抑制されてしまうことがよくある。こうなると拘禁されているのと変わらず、精神症状も現れる。この症状自体は環境が変われば軽快することが多いものの、後に与える影響も小さくないだろう。

先日、うちの入居者さんが、蜂窩織炎のため入院された。しかし病棟の空きがないとのことで、救急救命室に留め置かれた。
もともと認知症があり、安静にしていられずに興奮されていたようなので、ご家族さんは1週間ほど常時の付き添いを依頼されたという。結果、完治する前に退院となり、間もなく蜂窩織炎を再発して、4日間点滴に通うこととなった。

この方は記銘力が低下しており、物盗られ妄想もある。入院前には自室の場所もわからなくなってきたようで、一見しただけでは、入院を挟んで認知症が進行したかどうかはわからない。
それでも、今後に影響がなかったとは言えない。それだけにできれば入院などせずにすむよう、普段からの健康管理が大切なのだと改めて思った。

広告

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中