食べ物の持ち込み

施設に入居されている方は、そこが生活している場である以上、自分の責任において好きなものを食べる権利を当然に持っている。
とはいえ、食物をお部屋に持ち込むのには問題もある。以下のようなことだ。

1. カロリー管理
例えば糖尿病の方が、食事以外に居室でお菓子などを好きなように食べていたのでは、カロリー管理も何もない。病状が悪化する大きなリスクを伴う。

2. 窒息の危険
職員の目の届かないところでの飲食は、窒息しても誰も気づかずに手遅れになる可能性がある。パンや大福などだけでなく、飴玉など危ない食品は多い。

3. 衛生管理
高齢者、ことに認知症の方には、冷蔵が必要な食品は冷蔵庫に保管すること、賞味期限に気をつけるなどは困難である。悪くなったものを食べての食当たりなどを起こす危険性がある。

4. 他利用者さんの健康への害
上の1~3は、ご自身だけでなく、他の利用者さんも同じ危険に巻き込むことがある。言うまでもなく、他の利用者さんにあげられた場合である。

5. 他利用者との関係
一度食べ物などを他の利用者さんにおすそ分けすると、相手は「お返しをしないと」と考え、お礼に別のものをあげようとされることがよくある。しかしそうするとお相手の方が「あんなものののお返しにこんな立派なものをもらってしまっては申し訳ないから、また何かあげないと」など、キリがなくなってしまいやすい。実際に、これが利用者さんたちのストレスとなっていた例を見たことがある。

実際に、こうした事故が起きて訴訟になったという例を知らないのだが、万一の際には、施設の管理が不適当であったとして損害賠償を求められることもあるのだろうか?
特に4は、利用者さんが他の方に食べ物をあげ、それが原因で窒息された場合、責任は利用者さんご本人にかかってくるのか、それともあげた方か、それとも施設か?

私がかつて勤めていた老健では、食べ物の持ち込みは一切禁止だった。理由は、老健は医療施設でもあるので、こうしたリスクのある行為は認めるわけにはいかず、それに従えないのならそもそも治療契約(=入所契約)が成立しないというものだった。
間違っているとは思わない。が、これはその老健が生活の場所であることよりも療養の場所であることを優先しているわけで、そうなると想定される利用はあくまで一時的でなければならず、つまりは全利用者に在宅復帰支援を積極的に行っていかなければ筋が通らないと思う。

生活の場である特養やグループホーム、有料老人ホームなどでは、「食べ物の持ち込みは一切禁止」という態度は、人権侵害にも通じると言うべきだろう。
もちろん、糖尿病の方や認知症の方であってもその方の好きなようにさせるべきだ、と言っているわけではない。個別に、より良い方法を探っていかなければならない。例えば栄養管理やカロリー管理の必要がない方であれば、職員がお預かりして、食べたいと言われた時に職員見守りの下で食べていただくとか。
努力を重ねた結果、場合によっては「この方は一切禁止」となっても致し方ないケースはあり得るだろう。しかし何の努力もせずに禁止するのは、施設の対応としては実にお粗末である。

常に、利用者さんの希望を叶えるために努力する人でありたい。

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