介護のIT化は実現されるのか

介護業界では、なかなかIT化が進んでいかない。
介護の現場で主力となっている年齢層は高いので、PCなどデジタル機器に馴染みが薄く、そのため本格的にITが導入されるのはまだまだ先だろうというのがよく目にする意見である。
しかし、果たして本当にそうなのだろうか。

年齢層が高いからITに馴染みがない、ではケータイを日常的に使っている20代ならばPCも普通に操作できるのかというと、そんなことは全くないというのが私の印象である。
彼らがキャリアを積んで業界内で中核を担うようになった時には、デジタル機器をスムーズに操作できるようになっている、決してそうは言い切れないのではないかと思う。

スマートフォンにしろ、確かに普及率は上がっているが、では皆がそれを充分に使いこなしているのかと言うと怪しいものだ。通話にメール、LINE、SNS、Webで調べもの、地図、それにゲームがいくつか。こういった使用だけなら、これまでのケータイの延長線でしかない。
「こういうものがありますからどうぞお使いください」と与えられているものを使っているだけだ。そうではなく、「こういうことをするにはどうすればいいだろうか」と考え、それをPCやスマートフォン上で実現する方法を探し、自ら工夫しなければ、少しもデジタル機器に慣れていっていることにはならないと思う。

例えば事業所で、記録を全てタブレットPC上で行うシステムを導入したとする。
操作方法を習得するには、総じて若い方が学習能力は高いだろうから、若い者の方が早く慣れはするだろう。しかしそれはあくまで年齢の差でしかなく、デジタル機器に対する素養など大した影響は及ぼさないと思う。

デジタルの便利さは、単に紙にペンで書いていたものを画面内に移し、記録を簡略化することができるということだけではない。入力されたデータをいかに転用するか、そこに無限の可能性があるということだ。
それは当然システムを開発する段階でも検討されるが、現状では充分とは言えない。結局のところシステムを作っている人間は、介護の現場のことなど知らないのだから。

介護職員が自ら、どうやってデータを記録しそれをどのように使うか、それをある程度自分で考えていけるようにならなければ、実際のところIT技術は大して便利ではないのである。だから介護業界の中で、少しも普及していかない。
介護に比べ医療の世界でIT化が確実に進んでいるのは、医師が自ら「こういうことを実現させたい」とシステム開発者に積極的に働きかけているからである。そうしたことが介護の業界では全く行われていない。一方的にセールスされているだけだ。

そして現在の若者は、それを考えられるような経験を積んできていない。ケータイの主流がガラケーからスマートフォンに移行しても、実のところ何も変わっていないのだ。

いつか、それが変わる日が来るのだろうか。

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