アームサポート

車椅子の座面の左右にある、肘掛を含むパネル状の部品を、今は「アームレスト」でなく「アームサポート」というらしい。
つい最近介護技術講習で学び、へえ、と思った。

なぜこのアームサポートが、映画館のシートのような四角い棒状でなく、車椅子の側面を広く覆うパネル状になっているのかというと、それはもちろん服の裾などを車輪に巻き込まないためだろう。しかし、このために、アームサポートは簡単に上げ下げするというわけにはいかない。安価なものは本体にがっちりと固定されているし、アームサポートを跳ね上げることができる(ランボルギーニ・カウンタックのシザースドアの前後を逆にしたような形で上げられる)車椅子も多数存在するが、比較的価格は高めである。

アームサポートを後方へ跳ね上げられることのメリットは、移乗のしやすさである。つまりお尻を高く上げてアームサポートの外へ出さなくても、お尻をスライドさせるような形でベッドなどへ移乗することができる。ご自分でこの操作ができる方はまずいらっしゃらないので、職員の見守りないし軽介助によってご自分で立って移乗される方も、職員の全介助で移乗される方も、やりやすいということになるので、便利なものではある。

しかし、便利であるということは、それによって機能が低下する危険性をはらんでいるということでもあるのだ。

現在うちの施設に、移乗時にはなるべくご自分の力で立つ訓練をしていただきたいと思っている方がいる。たとえ数秒でもご自分の力で立つことができれば、トイレや入浴の自立度を高めることができるからだ。
現状では足に力を入れてもらうのがやっとで、とても立てる状態ではない。だから移乗を介助する職員も、多少お尻を引っ張り上げてあげなければならない。
この方が現在使用している車椅子は、アームレストが固定されている。だから、跳ね上げ式の車椅子にすれば、ご本人さんも職員も移乗が楽になる。そしてその方は、自宅にもう一つ、跳ね上げ式の車椅子を持っているらしい。

だが、私はその車椅子は要らないと思っている。だから持ってきて欲しいというたったひとことを言わずにいる。
もしも今車椅子を変えたらどうなるか。移乗が簡単になり、移乗が立ち上がりや立位保持の訓練にならなくなってしまう。

車椅子を変えるのは、ご本人さんも職員も、皆が立つ練習をする必要はないと判断するその時まで、先延ばしにしようと思っている。

職場では誰にも言えないので、ブログにこっそり書いてみた次第。

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