自己防衛による認知症の進行

人間の脳にとって、「忘れる」というのは非常に重要な機能である。

脳は、自分が覚えておきたいと思うこと、必要なことだけを記憶するわけではない。人間は覚醒しているだけで目や耳、そして全身から多くの情報を得る。そして、「考える」ことにより脳自身も情報を作り出す。
その大部分は不要なものであり、そうしたことを忘れることができなければ、脳の記憶容量はすぐにいっぱいになる。忘れなければ、新しいことも覚えられない。

また、人間は時に辛い経験をする。その記憶は色褪せることがなければ、いつまでも悲しみと苦しみとを引きずっていくこととなる。
「喉元過ぎれば熱さ忘れる」のも生きていく上では必要なのである。

つまり忘却とは、自己を守ることでもあるのだ。

これは、時に積極的に行われる。
施設で暮らしているが、本当は家に帰りたい。しかしそれは叶わず、周囲の人々は帰れない理由を挙げ、説得する。
その理由、そしてその時に感じた思いが辛いものであれば、忘れた方が楽だ。だから忘れて、同じ訴えを繰り返す。

また、忘却以外にも。

自分にはやりたいことがある。家を守っていくこと。仕事をすること。ご飯を作ること。繕い物をすること。他人に尊敬されること。
それができなくて辛い思いをするなら、やりたいという意欲そのものを失くす方がマシだ。

こうして認知症高齢者は、諦め、忘れっぽくなり、意欲を失くしていく。

諦めさせない介護。それができるようになればいいと思う。

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