リハビリテーションと機能訓練、そして生活機能の維持・向上のための訓練

私は過去に、リハビリテーションや機能訓練について、「リハビリと機能訓練」「これからのデイでの機能訓練」「維持と向上」という3つのエントリを書いた。

これらのエントリの一部には誤りに基づいた記述があるので、本当なら全部書き直したいのだが、ブログでそんなことをするわけにもいかないだろう。そのため該当箇所を訂正するに留めた。
その詳細は各々のエントリをご覧いただくとして。

改めてリハビリと機能訓練の違い、そしてデイサービスで新設された個別機能訓練加算(Ⅱ)で求められている機能訓練について整理してみたいと思う。

「リハビリテーション」「機能訓練」という語の意味するところとして、様々な介護保険サービスに関しての法令に共通して用いられている内容は、以下のようなものである。

・ リハビリテーション : 医師の指示に基づき、理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)・看護師(Ns)という専門職員の行う、機能の維持・回復を目的とする訓練

・ 機能訓練 : PT・OT・ST・Ns・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師が行う他、生活相談員・介護職員も一定条件下で行える、機能の改善・減退防止を目的とする訓練

この前提が違っていたら話にならないので、もしも例外をご存じであればお教えいただきたい。

両者の違いをまとめると。

リハビリテーション → 機能の維持・回復、つまり病気や外傷により心身の機能が充分に働かなくなっている方に対して、本来の状態への可能な限りの回復や、さらなる悪化を防ぐことを目的として行うもの。すなわち、訓練の基準となる状態は、病気や外傷のない「本来の状態」。
原因が病気や外傷であるために医師の指示が必要であり、実施にも医学的な専門技術が必要。

機能訓練 → 機能の改善・減退防止、つまり現在の状態からの改善や、衰えを防ぐことを目的として行うもの。ここでは、病気や外傷、本来の状態などは考慮されていない。すなわち、訓練の基準となる状態は、あくまで「現在の状態」。
病気や外傷と現在の機能との間での直接の因果関係は問題とされていないので、医師の指示は不要だが、不適切な実施により却って悪化させたりしないよう、ある程度の医学的知識は必要。

こうなるはずである。異論があればぜひコメントを。

さて、ここで4月の制度改正・報酬改定で、リハビリとも機能訓練とも違う、新しい訓練が登場した。通所介護の「個別機能訓練加算(Ⅱ)」の、「生活機能の維持・向上のための訓練」である。

これについて、解釈通知から抜粋する。

個別機能訓練加算(Ⅱ)に係る機能訓練は、身体機能そのものの回復を主たる目的とする訓練ではなく、残存する身体機能を活用して生活機能の維持・向上を図り、利用者が居宅において可能な限り自立して暮らし続けることを目的として実施するものである。
具体的には、適切なアセスメントを経て利用者のADLおよびIADLの状況を把握し、日常生活における生活機能の維持・向上に関する目標(一人で入浴が出来るようになりたい等)を設定のうえ、当該目標を達成するための訓練を実施すること。

私はエントリ「これからのデイでの機能訓練」で、これは生活リハビリ(換言すれば、ICFを導入した機能訓練)に他ならないと述べた。
法令で、「生活リハビリ」という語が用いられなかった理由は、その語を作った三好春樹氏に配慮してのものか、世間に間違った生活リハビリのイメージが広がっているためか(エントリ「2つの『生活リハビリ』」参照)、それとも医師の指示に基づかない訓練を介護保険法上で「リハビリ」と呼ぶわけにはいかなかったからなのか、その理由は定かではない。

この訓練が、従来の介護保険法上のリハビリテーションの定義とは異なることは、「身体機能そのものの回復を主たる目的とする訓練ではなく」とされていることから明らかである。
また「目標を達成するための訓練」とされていることから、現在の状態を基準とする従来の機能訓練とも異なるのがわかる。
この訓練で基準となる状態は、「そうなることが望ましい状態」なのである。

一人で入浴ができるようになりたいという例で考えてみよう。
入浴に介助が必要になっている理由が、例えば、
・ ズボンや下着を下げることはできるが、それらから足を抜くことができない
・ 手すりにつかまっての移動はできるが、浴槽の縁を跨いで湯船に入ることができない
・ 浴槽に浸かることはできるが、そこからの立ち上がりができない
であるとする。「できないこと」だけでなく、「できること」にも着目しているところに注意。

まず、デイサービスの機能訓練指導員が担当ケアマネ・福祉用具専門相談員と共にご自宅の浴室を見せてもらったところ、ズボンから足を抜き、浴槽を跨ぐためには、座面の高さが36cmの椅子に座った状態で、座面までかかとが上げられるようにならないと無理で、また浴槽から立ち上がるためには、浴槽の縁に新たにアームを設置し、それをつかんで立ち上がることができれば何とかなりそう、とわかったとする。
そこでデイサービスでは、下半身の柔軟性のトレーニングを、実際に足を座面まで挙げてもらって行う。また、浴槽とアームの位置関係を考慮した立ち上がり練習を、入浴中も含めて行う。

これが、生活機能の維持・向上のための訓練というものである。

このように言うと、例えば老健のPT・OTさんなどの中には、「そういうことなら、在宅復帰を進めていく過程で、うちだって同じようなことやっとるわ」と思われる方もいるかもしれない。
これはその通りで、特にWHOでのICF採択以降は、身体の機能回復を図ることだけがリハビリテーションではなくなっている。

よって、個別機能訓練加算(Ⅱ)については、デイサービスで疑似リハビリテーションを行うことが求められるようになったと考えることができる。少なくとも、これまでのデイサービスの機能訓練とは全く異なったものだ。

私は、これからのデイサービスに求められているのは、エントリ「この支配からの卒業」で紹介した、和光市の取り組みのような訓練だと思っている。

これは、医療の下請けでないリハビリテーションなのである。

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