介護プロフェッショナルのキャリア段位制度

6/29、厚生労働省より「介護保険最新情報Vol.292」として、「介護プロフェッショナルのキャリア段位制度パンフレット」の事務連絡があった。

介護プロフェッショナルのキャリア段位制度パンフレット
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002ae5j-att/2r9852000002aekd.pdf

これは内閣府が推し進めてきた「実践キャリア・アップ戦略」の一部だが、先月の政府による事業仕分けにより廃止判定が下されている。内閣府は、この判定はあくまでその場だけのものだとして、29日にこうした事務連絡を行ったわけだが……なめられてるなあ、事業仕分け。

このキャリア段位制度は、今年度の秋からスタートする予定となっている。
これを以って処遇改善加算のキャリアパス要件に充てられることで事業所としてもメリットがあるし、職員のやりがいやスキルアップのモティベーションにつながることが期待されている。

段位の仕組みは、職業能力を「わかる(知識)」と「できる(実践的スキル)」に分け、前者を既存の研修修了によって、そして後者を共通基準で評価し、7段階のレベル認定を行うというものだ。

知識は、ホームヘルパー2級でレベル1、介護福祉士でレベル4となる。
また実践的スキルは、各事業所内で「アセッサー」を任命、所定の講習を受講させた後、その者に事業所内で評価を行わせる。
またこの「アセッサー」が事業所内で好き勝手に評価できるのでは意味がないので、外部評価機関が「アセッサー」による評価の信頼性・妥当性を検証することとなっている。

この実践的スキルは、昨年度まで行われていた実証事業の段階では、大項目、中項目、小項目、チェック項目から構成されている。大項目は「①基本介護技術の評価」「②利用者視点での評価」「③地域包括ケア」「④その他」の4つ。
このうち、例えば①のうち「食事介助」という中項目は、「食事介助ができる」等の小項目からなり、さらにそれが「食事の献立や中身を利用者に説明する等食欲がわくように声かけを行ったか」などのチェック項目からなる、という構造である。
このように①は比較的イメージしやすい。しかし②のうちの「利用者・家族とのコミュニケーション」や「緊急時対応」、そして③などはどのようなチェック項目を設けるのだろうか? そしてそもそも④とは?

技術は客観的に評価しやすい。しかし本当に利用者本位の考えができるかどうか、気づきはどうか、ということをチェック項目によって評価するのは難しいだろう。よって、この段位制度のみによって介護職員の評価とするのは無理があろう。

ここで、「介護職員の能力を評価する物差しを作るのは無理。よってこんな制度は全くのムダ」と言ってしまうのは簡単である。
しかし、事業所が介護職員を評価する基準が介護福祉士資格の有無ぐらいしかない今よりは、このような尺度があった方が、職員の待遇の改善につながっていくと思われる。職員が段位を所持していることにより事業所の収入が上がるのならば、事業所がそれを評価するのは当然だからだ。

例えば、現在は介護福祉資格の所有者割合がサービス提供体制強化加算の算定要件となるので、その意味では介護福祉士資格は事業所の収入アップに貢献している。今のところ、今回の段位制度について提示されている事業所のメリットはキャリアパス要件にできることぐらいだが、後々報酬に広く反映されていくようになれば、事業所・職員双方にとってのメリットとなる。

ただ、これが介護職員の目標となってしまうのでは、やはり本末転倒である。介護職員にとって、スキル向上は手段であって目的ではない。
目的は、もちろん利用者の生活の質を向上させていくことである。

誰が見てもそれなりに納得できる評価基準を作れるのか。
どのように報酬に反映していくか。
この制度の成否はそれにかかっているだろう。

でなければ、事業所も積極的に導入しようとはせず、細々と続いていった結果、多くの人々に「無駄だ!」と言われて終わりのように思える。

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