夫婦で入居

施設に、ご夫婦で入所される方がいる。

施設の中には、専用の2人部屋が用意されているところもある。私の知っている住宅型有料老人ホームでは、定員20名のうち6名が2人室だった。
しかし実際には、夫婦で入られたのは1組に過ぎず、しかもそのご夫婦のご主人が亡くなられてからは、需要がないということで個室に改築されてしまったが。

うちの施設には、夫婦用居室こそないものの、最近までご夫婦が2組おられた。
うち1組のご夫婦は、廊下の端の向かい合ったお部屋に住まわれていて、食事に行くときにお互い声をかけ合ったり、廊下を一緒に歩いたり、ほど良い関わり方をされていたように思う。
しかしご主人が、数ヶ月前に入院先の病院で亡くなられてしまった。奥さんはその場には立ち会えなかった。

もう1組は今も夫婦で入居されている。部屋は隣り合っており、たまたまその2室が偶然立て続けに空いたのだ。
ご主人さんは入院していた病院で、先は長くないかもと言われていたのだが、うちに入所してからみるみる元気になられた。

そのご夫婦は、共に認知症で記銘力が低下している。
ご主人さんには物盗られ妄想があり、時々物を置き忘れては盗まれたと思い込み、激昂されることもある。
ご主人さんが私たち職員に激しく怒っていると、奥さんが「おじいちゃん、もうやめなさい。職員さんも一生懸命やってくださってるのよ」となだめてくださる。そして私たちに「ごめんなさいね」と頭を下げられる。
その姿を見ると、奥さんが可哀想になる。こういう旦那さんを持つと大変だなあ、と。

入居当初のケアプランは、せっかく夫婦で入居されているのだから、奥さんにはご自分のことと同様に、ご主人の世話もできることは続けてもらおうというものだった。
しかし、ご主人の着替えを手伝ったり、入浴前に準備してあげたりというお世話がストレスになっていたので、職員が介入するようにプランを変更した。またお互いがそれぞれに過ごす時間も作ろうということで、趣味的活動もそれぞれに行ってもらおうと計画した。ご主人は墨絵や数独をお部屋で、奥さんは手芸や他の入居者さんとの交流を食堂で、というように。

それからは、職員がご主人さんのお手伝いをすると、奥さんが「まあ、済みませんね」などと笑顔で言ってくださるようになっている。それでもやはりご自分で気にかけられるところはあるし、お互いにお部屋を行き来することを邪魔するわけにもいかない。何とかほどほどに仲良く、そして息抜きをしつつやっているようだ。

我々のすることは、どこまでが支援でどこからが大きなお世話なのか。
特に夫婦の間のことは、難しい。

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