認知症の方と、そうでない方と

うちの施設は定員29名の地域密着型特定施設であるが、その中で、私が考える「認知症でない方」は6名。

それらの方々の中には、認知症の入居者さんをはっきりと嫌っている方はいない。
しかし、認知症なのだからと受け流すことができなかったり、怖がったり、「ああはなりたくない」というところはあるようだ。中にはからかうようなことを言われる方もいる。

無理もない、と思うこともある。
同じ話を延々と聞かされたり、疑われたり。突然怒鳴られることもあるのだから。
職員ならばそれらも仕事の一部であるが、入居者さんが耐えなければならない理由はない。「それが介護施設での共同生活というものです」と言ってしまえばそれまでだが、そこに逃げ込んでしまっては進歩はない。

よってトラブルが生じた際、認知症のない方に、「あの方は認知症なんだから仕方ないんですよ。ごめんなさい。我慢してください」と言うのは間違っていると思うが、といって、「全くあの方には本当に困ったものですよね」などと言うのも間違っている。

そこで、そうした問題が生じた時、あるいは予見できる時には、例えば食堂での席を替えたり、職員が介入するよう気をつけるなどしつつ、なるべく認知症への理解を深めてもらえるよう努力していくわけだ。
また認知症の方をからかうような言動が見られたときには、認知症の方の死角に回り込んで、からかった方に向かって口に指を当てて「しーっ」という仕草をし、後でそうした理由を説明することもある。
こうした努力は、どこの事業所でも同じようにしているだろう。

認知症の方を間近で見ていると、「自分がああなったらどうしよう」という不安を抱くのはごく自然なことだと思う。
そうした不安を訴えられた時には、「○○さんは毎日編み物をしているし、まだまだ大丈夫ですよ。今100歳なんですから、130歳くらいまで生きない限りボケません(笑)」などと答えて、不安を笑いの中に溶け込ませようとしてみたりもするが、もちろんそんなことでは不安がなくなることはないだろう。

大切なのは、「自分は絶対に認知症にはなることはない」という誤った安心感を与えることではなく、「自分が認知症になっても何も心配することはない」と感じていただくことだ。

そのためには、認知症の方への職員のケアが、見ている方にも愛情を感じさせるものでなければならない。認知症の方が幸せに過ごしているところを実際に見ていただかなければならない。

と口で言うのは簡単だが、困難な道程である。特に私のような未熟者にはまだまだ。

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