認知症の方への訪問診療

千葉県旭市の精神科病院、海上寮療養所に上野秀樹という先生がいる。認知症の方への訪問診療のパイオニアだ。
(参考リンク:http://1mannin-shiminiinkai.com/pdf/20110822/seishiniryo.pdf

先生曰く、精神科病棟は治療の場であって生活の場ではないため、入院によって認知症の中核症状が進行、ADLも低下し、結果、入院が長期化してしまうとのこと。
また「認知症こそ早期に在宅医療で介入することで、進行や介護負担が抑えられ、QOLを保てる」とも言われているらしい。

なるほど。
その通りだと思う。

それでも、先生の話によると、精神科病棟では認知症の方の7割で精神症状が改善され、1割が自宅に、6割が施設に移られているらしいのでまだ良い。
老健の認知症専門棟ではどうだろうか。少なくとも私の見聞きした範囲では、専門的な医療も充分なケアも受けられず、症状は進行しADLも低下、「問題行動」を起こせなくなるほどまでに心身の状態が低下してから一般棟や特養へ移られる、というケースが多かった。

在宅の方で、認知症の進行が疑われても、専門医療機関への受診を拒否される方は少なくない。その結果、症状がどんどん進行していってしまうというのはよく聞く。
また治療の過程でも、定期的な受診はご本人さんの拒否やご家族さんの負担などのため困難で、診察なしでご家族さんの話から現在の病状を判断して薬を処方、などというケースもある。それにたとえ受診に抵抗がなくとも、診察の場は日常生活とはかけ離れているため、医師が認知症の方の普段の様子を正確に知るのは難しい。
医師の方からご自宅へ訪問できるのなら、それ以上のことはないだろう。

うちの施設にも、メンタルクリニックにかかっているが、先生からご本人の受診は不要ですと言われて職員のみが状態の報告に行っているという入居者さんがいる。
確かに、お連れしても普段の様子を見てもらえるわけではないので同じことだと思い、素直にそれに従っているが、往診してもらえるなら、より適切な医療が受けられることになるのは間違いない。

精神科の訪問診療は、上野先生曰く採算が合わないそうだ。それでは普及させるのは難しいだろう。正当な評価がされるようになり、精神科の訪問診療が広く行われるようになればいいと心から思う。

また普及しても医師は多忙なので、お一人お一人をじっくり診るというのは難しいだろう。そんな時、精神科の専門の看護師による訪問看護サービスというのもいいのではないか。訪問看護師が医師の「目」や「耳」となることができれば、それだけでも大きな違いだろう。

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