ターミナルケアに、施設全体で。

うちの施設で、末期がんの男性が亡くなられた。

三日間、娘さんとそのご主人さんに付き添われての大往生だった。
日中にご家族さんが一時帰宅されていた間などは、職員が傍に付き添って、寂しさや不安、苦痛を感じたりすることがないように努めた。

痛みの訴えが全くなかったため、強い鎮痛剤を使うこともなく、そのため副作用としての吐き気などもなかった。もともと認知症はあり、時々混乱したような発言も見られたものの、「今までありがとう」「そろそろかな」といった、現状を正しく理解されているのだと思わせる言葉も聞かれていた。
たぶん、うとうとする時間が長くなっていても、ただ眠っているのではなく、周囲の音は聞こえていたのだろう。その間にいろいろなことを考え、少しずつ死を受け入れていったのだ。
全てが、大切な時間なのだ。

その方へのターミナルケアについて、もっとこうしておけば良かった、などの反省点は今のところ特に思いつかない。
とは言え、私は大したことは何もしていない。頑張ったのは主に管理者である。彼女には心からお疲れさまと言いたい。

ここ数年、うちの施設で看取らせていただいた方は、お子さんがいなかったり遠方に住まわれていたりして、管理者や相談員、看護師がご家族さんに代わって交代で付き添うことが多かった。しかしそうした職員の人数は以前よりも減っているので、今回もご家族さんがいなければ、うちの管理者は過労で倒れていたかもしれない。
介護職員は通常業務があるので、なかなかゆっくりと付き添っていられない。その間他の入居者さんを放置するわけにはいかないのだから。

これは少し残念なことだ。せっかく施設として看取りを行っているのだから、介護職員にも経験を積んでいってもらいたい。一部の職員だけが大きな負担を強いられるのは良いこととは言えない。
数年前にそう考え、看取りに介護職員をもっと関わらせようとしたことがある。業務として時間外手当を支給することはできないが、それでもいいから傍にいてあげたいと思う者は是非そうして欲しい、と。

しかし失敗した。それが可能となるほど、看取りというものへの意識が施設内で統一されていなかった。
職員間で、互いの介護への思いが分かり合えていなかった。

今でも、それは変わっていないかな。それはこれからの課題だ。

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