Bed of Roses

最近、うちの施設の入居者さんの不眠症に対して、ロゼレムという新しい薬(と言っても発売は2年前だ)が処方されるようになってきた。

この薬はメラトニンという、夜に多く分泌されて睡眠を促すホルモンの受容体に作用する。いわば正常に働かなくなっている体内時計の針を外部から動かすわけだ。
これまで主に使われてきたベンゾジアゼピン系の薬が、GABA受容体に作用して興奮を鎮めることで眠りに誘っていたのとは異なり、ふらつきなどの副作用がない。高齢者ではこれが大きな問題で、夜間トイレに行こうとして転倒という事故が後を絶たないことを考えると、ロゼレムにかけられる期待は大きい。

効果の程は? と、おくすり110番でロゼレムを引いてみると、臨床試験では
① 1,130人を対象にした試験:投与群はプラセボ群に比べ平均3分早く眠れた(統計的有意差なし)
② 971人を対象にした試験:服用後1週間では入眠時間短縮(有意差あり)。服用後2週間では有意差なし
という、何ともあやふやなデータが(^-^;

高齢者の場合、夜間眠れない→日中に眠くなって寝てしまう→さらに夜間眠れなくなるという悪循環が起こりやすく、昼夜逆転と言われる状態になることもある。
在宅にしろ施設にしろ、日中の活動を一人で行うのが難しくなった高齢者にとって、昼と夜のリズムを保つのは難しい。人間は能動的に動いていればそうそう眠くはならないが、受動的になったとたんに眠くなるものだ。だから、不眠=体内時計の機能低下、とばかりも言えないように思う。そういう状態でこの薬をのんで効果があるのだろうか? 例えばインスリンが正常に分泌されない糖尿病患者にインスリンを注射するのとはちょっと事情が違うのでは、と。

さて、うちの施設でロゼレムが処方された方はお二人。
うち一人はそれまでマイスリーをのんでいたのだが、夜間トイレに行く際に転倒し右手を骨折、ロゼレムに代わった。頻尿のために夜眠れないのか、あるいは眠れないためにトイレが気になって何度も行くのか……いずれにしろさらに頻尿が酷くなったため泌尿器科を受診したところ、膀胱炎とのことで、炎症を治療しているうちに眠れるようになった。ロゼレムの効果なのかどうかはちょっと判断しにくい。

もうお一人は男性の方で、夜間起き出して着替えたり、お部屋から出てきて廊下を歩いたり(徘徊ではなく、ご本人さんは歩行練習のつもりらしい)されることから、つい最近ロゼレムが処方された。さてどんなものか、次の夜勤がちょっと楽しみだ(^-^;

要介護高齢者の場合、薬を使用してからの変化を、自分で他人に伝えられることはほとんどない。なので第三者が評価するしかないが、施設でその役割を担っているのは介護職である。
そのためにはやっぱり、ある程度の医学的知識があるに越したことはない。

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