科学的介護

全国老人福祉施設協議会(全国老施協)が「科学的介護」という言葉を掲げている。

この「科学的」とはどういうことを指すのかと言うと(参考リンクリンク切れました。)。

◎日中おむつゼロによる排泄ケア
・・・適切な水分補給とリハビリ、個々の排泄リズム等により、日中おむつ外しが当たり前に
◎一人ひとりの疾患症状に応じた認知症ケア
・・・認知症の原因疾患と状態像を把握し、適切な薬物療法とケアにより安定した生活を可能に
◎施設生活におけるリハビリテーション
・・・個室化により(動かない)廃用性症候群が増えている。適切なリハビリによる自立支援
◎インフルエンザや認知症予防も視野にいれた口腔ケア
・・・口腔ケアを徹底し、「口からの食事」(胃ろう・腸ろう外し)を推進
◎人生の終末を安心して迎えられる看取りケア
・・・「安心の死」を家族とともに、施設職員全員で実践

科学的介護の担い手がいない...
◎介護の専門性とともに医療・看護職との連携、他職種共同の高品質サービスを担う人材が必要です!
☆措置時代の「経験優先」の担い手・・・寄り添いのケア、なじみの関係、働き手のサイクルに合わせたケアe t c . … では、日本の超高齢社会を支えることはできません!

だそうである。
私は特養に勤めているわけではないので「ほー。そーですか」と言っていられるが、特養にお勤めの方は、さぞ切なかろう。

特養というところは、個室化すると廃用性症候群が増えるらしい。
よく堂々とこんな恥ずかしいことが言えたものだ。

また、介護が職人芸では良くない、という考え方があるのはわかる。このエントリで述べたように、介護における工場制機械工業を実現してサービスの標準化を図るのは間違ってはいない。
が、サービスの標準化と、「寄り添いのケア」「なじみの関係」は相容れないものではない。ましてや「働き手のサイクルに合わせたケア」は職人芸としての介護とは何の関係もない。

「寄り添いのケア」というのは、定義もはっきりしない概念なので肯定も否定もできないが、最も広く用いられているのは、「施設、職員に利用者さんを合わせるのではなく、利用者さんに施設、職員が合わせる」というような、「利用者本位」という言葉に近いものだろう。何をもって否定しているのか全く分からない。
また「なじみの関係」もよろしくないらしい。特に親しい人もいない環境で、孤独に暮らす方が良いということ?

そして現在はその科学的介護を担える者がいないので、EPA(Economic Partnership Agreementすなわち経済連携協定)によって海外から人材を受け入れようということらしい。私は介護の人材を海外から受け入れることに対して反対するつもりは全くないが、まあ随分と日本人の介護士も馬鹿にされたものだ。

そもそも、ここで言われている「科学的」というのは、現在の心身の状況に合わせて、できないことを介助するだけではなく、機能を改善していくことを指すようだ。その過程では、エントリ「ケアマネジメントのプロセス」で述べたようなことを行うのだろうから、なるほどそれは正しい。確かに科学的だ。
それがこのようなおかしな主張になってしまうのは、建前で糊塗しているからだ。つまり。

「特養の生き残りをかけて、科学的な介護を実現させたい」
  ↓
「そのためには今よりも介護職員の質を上げなければならないが、それには待遇改善が不可欠だ」
  ↓
「しかしそれはもう望むべくもない。ならば海外からの優秀な労働者を、現在の日本人介護職員並の待遇で使役するしかない」

という本音を隠しているのではないか。

これは穿ち過ぎかねえ。

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科学的介護」への3件のフィードバック

  1. 青森の特養に勤める44歳の者です。介護福祉しで勤めて8年になりますが、未だに準職です。今 科学的介護に取り組んでいますが、夜もオムツ外しは必要ですか? 日中は利用者何人に対して介護員一人ですか? 怪我も多く それでも科学的介護を実践しようとする 施設に疑問です。転職も考えてます。心が折れそうです。

  2. 夜のオムツ外しも必要ですか? 日中も人員が少なく 実践するのに困難です。怪我も多く そこまでして科学的介護を実践していいものか疑問です。

  3. >ゆかり様
    いらっしゃいませ。いただいたコメントに気づくのが遅れてしまいました。
    トイレに座ることができる方であれば、ほぼオムツを外せるようになると思いますし、排泄をトイレでするというのは素晴らしいことですよね。
    ですが、ご本人さんの希望や心身への負担もありますので、とにかく何が何でもオムツの方をゼロにしようというのは本末転倒だと私は思います。
    おっしゃられているように人手の問題もあります。職員が排泄ケアに疲弊してその他のケアに支障が出るようでは意味がないですよね。
    「科学的介護」と「おむつゼロ」は別の問題です。科学的であることを追求した結果、オムツを使うことが適切であるという利用者さんもいると私は思っています。
    施設の方針に納得できない状況で働き続けるのは、私も経験がありますが、とても辛いですよね。
    上司や管理者に相談し、納得できなければ、転職というのも決して悪い選択肢ではないと思いますよ。

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