要介護度の上下と区分支給限度額

介護保険サービスを利用するには要介護認定を受けなければならない。そしてこの認定の際には、要介護度も決められることとなる。

要介護度というのは、その方が1日に必要とする介護の量を時間に換算したものである。非該当(自立)の場合25分未満、要支援1では25分以上32分未満……と増えていって、要介護5では110分以上となる。
この基準時間は、一分間タイムスタディ・データに基づいて決められるもので、要は1分刻みで48時間、施設で実際に行われた介助の内容と時間を記録したデータから導き出される。この一分間タイムスタディ・データというのが何だかよく分からない、「そういうものがあるんだってよ」という程度の代物なのだが……私が不勉強なだけかな。

ま、いずれにしろ、認定調査と主治医意見書の内容をコンピュータ入力して一次判定をし、さらに認定審査会で二次判定を行うことによって要介護度が決定されるわけだ。

この要介護認定の結果は、直接介護をしている者にとって納得できるものとは限らない。必要な介護量は多いのに低かったり、逆に高かったり。
更新時には前回の認定時と比べて明らかに必要な介護量は増えているのに要介護度が変わらなかったり、逆に何も変わっていないのにいきなり2段階くらい上下することもある。

施設では、要介護度が変わったからといって提供するサービスの内容や量が変わることはない。変わるのは料金のみである。要介護度が高い(つまり5に近い)方が利用者さんの負担は大きく、施設の収入は多いので、介護度が上がることは利用者さんにとっては喜ばしくないが、施設にとってはありがたいことになる。

居宅の方の場合は、もちろん介護度の違いが料金に直結するサービスもあるが、多くの人はそれらのサービスの単価が高くなることよりも、区分支給限度額が上がって使えるサービスの量が増えることを喜ぶ。たとえすぐにデイやショートの回数を増やすつもりはなかったとしても、万一の時に使える量が多いというのはやはり安心なのだ。

安心。
結局、これが在宅生活を継続していくのに最も大切なのだ。何かあった時には助けを求めることができる、ということが。
そういう意味では、電話をかければ24時間いつでもオペレータに繋がり、必要とあらばすぐ訪問してくれる定期巡回・随時対応型サービスは心強い。こうしたサービスを創設したこと自体は正しいと思う。今の形では普及させるのはそりゃ無理だろうと思うが、それについてはまた別のエントリで書くかも。

それにしても、区分支給限度額などなくして、本当に必要な時には必要なだけのサービスを使えるようにできないものか。
そもそも限度を決めると、「その分は使わないと損」という心理が働く。そうして介護度が上がった途端に、現状でもさほど困っている様子もないのにここぞとばかりにサービス量を増やしたがるご家族さんを大勢見てきた。
限度額などなければ、利用料にまず目が行くので、介護度が上がることは歓迎されず、また必要のないサービスを使うこともなくなると思う。

在宅生活を継続したくても、現状では介護度が高くなれば必要サービスは限度額内に収まらなくなるのだ。
これではご家族さんが施設に入れたがるのも当たり前である。

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要介護度の上下と区分支給限度額」への2件のフィードバック

  1. 介護給付費分科会などで出ている資料だと区分支給限度額に近い(あるいは超える)利用はかなり少数なので、一見すると区分支給限度額がなくても大した問題ではない印象も受けるのですが、その少数の部分に住宅型有料老人ホーム(特に生活保護絡み)があって、区分支給限度額がないと歯止めが利かなくなることを恐れているのかなと思います。もちろん、住宅型有料老人ホームだと本当の在宅よりもサービス利用が多くなるのは当たり前だし、区分支給限度額を埋めることありきのところばかりではありませんが。
    また、財政的な観点からすると、在宅介護とは言っても施設並みに介護サービスを利用すれば施設よりも割高になるわけで、それならば施設を利用してもらった方が、一か所に集めて効率的に介護ができるので安く済んで良いということになるのだと思います。在宅推奨というのは、実は家族介護の推奨なのかもしれません。

  2. >介護専用様
    いつもありがとうございます。
    私も住宅型有料老人ホームにいたことがありますが、必要な身体介護を全部訪問介護で入れるととんでもないことになりますね(とりわけトイレ介助をナースコール対応でしている方とか)。
    今の職場の介護付に入居されていた方でも、以前は住宅型にいて月の支払いが30万円になっていたという方もいましたっけ。限度額を超えた分を情け容赦なく請求できるってのもすごい話だと思いますが、そういうところがあるのも事実。
    施設の方が効率的、というのもよく分かります。
    昔は、特養の建物を立てるのにも多大な補助金がかかっていたので、「建物の整備にも金がかかるので実は施設介護の方が割高」→「在宅推進」→「最近はそんなに補助金出さなくて済む、つまり民間の力を生かせるようになってきたので、やっぱり施設も」という流れになっているのかなと。まあ私は補助金とかのことはよく知らないんですけど。
    区分支給限度額に近い、あるいは超える利用は少数というのも初耳でした。教えてくださってありがとうございました。

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