お心遣いは結構です

Twitterでご指摘を受けたのですが、このブログでコメントを付けようとした際にメールアドレスやURLの入力を求められたとのこと。そんなはずは……と思ってブログの設定を確認したら、確かにそういう設定になっていました。
過去にコメントくださった方はメールアドレスやURLを入力されずに投稿されていますので、いつの間にか私の意図しないところで設定が変わっていたようです。

コメントしようとして「メールアドレス入れなきゃいけないんなら止めよう……」と思った方がもしも他におられたら、申し訳ありません。設定を直しておきましたので、もう入力を求められることはないはずです。

ついでに書いておきますが、一時的にトラックバックは承認しないと公開しないようにしました。名古屋の看護師求人とかいうところからのスパムが立て続けにあったもので。まったくこんなブログに貼り付けてどうなるっつーんだか。
ただ、私は本来であれば承認などせずにすぐに公開するようにしたいので、近いうちに戻しておくつもりです。

で本題。

利用者さんが、自作の飾り物などの作品やお菓子、時には現金を職員にあげようとすることはよくある。

本来なら、そうしたものはすべてお断りするのが筋だろう。
ご自宅に訪問する居宅のヘルパーやケアマネは、お茶の一杯さえお断りするようにと定めているところもあると聞く。そこまでいくとやり過ぎなのではと思ってしまうが、ではどこまでがOKでどこからがNGなのか、その線を引くのは難しい以上、一切お断りとするのが正しいことなのだろう。

しかしまたこれも、「正しいこと」が「良いこと」とは限らない。

折り紙や編み物の作品は、施設内に飾るにしても量が増えてくると場所がなくなるし、ご家族さんに持って行っていただくわけにもいかない。他の入居者さんにお配りするのにも限度がある。そうなると、定期的に職員がいただいて持ち帰ることが、入居者さんのさらなる創作活動へのモティベーションへとつながっていく。
作品は、タダでもらうのが申し訳ない、1個50円くらいは出しますよと言いたくなるほど見事で役にも立つアクリルたわしから、ちょっとお部屋に飾っておくのはなあ……と思ってしまう折り紙作品までさまざまだ。最近では達磨の絵を描いてくださる方がいて、お守り札のように各居室や施設内のあちこちに貼られていたりもする。もらって持ち帰っている職員もいるようだ。

お菓子については、うちの施設では入居者さんのお気持ちということで素直に受け取っている。ご家族さんが買って来られたりするお菓子は、なかなかご自分では食べきれないこともあり、そうなると捨てるよりは職員が食べた方がまだしも。もちろん職員に配るために用意されたりすると本末転倒だが、さすがにそこまでの方は今のところいない。
もちろん、もらうと言ってもその量はせいぜいその場で食べきれるだけの分にしておくべきだ。その場で食べきれないほどの分であれば、「じゃあありがたくいただいて、おやつの時間にみなさんにお出ししますね」と、個人としてではなく施設としていただくことにしている。

そういえば、最近は利用者さんやご家族さんからの利用料以外の金品は、一切お断りしている施設もあるようだ。つまり「いつもありがとうございます」と菓子折などを渡されても、辞退する。病院などではだいぶ以前からそれがスタンダードなので、介護施設もそうするのが本来は正しいだろう。それに我々が「いつもありがとうございます」と一方的に感謝される立場ではないのももちろんだ。
うちの施設ではありがたく頂戴して入居者さんのおやつにお出ししたり、それだけの数がなければ職員に配ることもある。一回は「あんまりお気遣いいただくと却ってこちらが恐縮してしまいますから」などとご遠慮するようにしているが、強くは断らない。
結局はそれが我が国の慣習、文化の一部なのだからと思うようにしている。

現金をもらうのはもちろんタブーである。1円たりとももらってはならないし、また現金でなくとも切手などの金券や商品券などの有価証券も同様。
だが、職員にお金を渡そうとする方は結構いらっしゃるものである。「いつもありがとう」と言って千円札を握らされたり……
そうした時は、どうしても断れないのであれば、無理せず受け取っておけばいいと思う。もちろんそのまま自分の懐に入れたりせず(^-^; 事務室に持ってきてもらえば、お預かりして後でご本人さんにお返ししたり、ご家族さんにお渡しする。利用者さんに「お金はもらっちゃいけない決まりだから」「もらうと怒られちゃうから」などとお話しても正しく理解してもらえるものではないし、気持ちを受け容れてもらえなかったと悲しい思いをさせてしまうよりは、その方が良い。
そもそも、利用者さんがお金をあげたいと思うということは、その職員がそれだけいい仕事をしているということでもある……とは限らないか(^-^;

そういえば私が利用者さんから渡された最高金額は、最初に勤めた老健での5万円(たぶん)だ。退所時に「お世話になりました。これはお礼のお手紙です」と言って手渡され、玄関でお見送りした後に、封を開けたら中身はお札……
慌てて走って後を追いかけたが、あのままもらっとけばよかったかなー(^-^;; <もちろん冗談です

Bed of Roses

最近、うちの施設の入居者さんの不眠症に対して、ロゼレムという新しい薬(と言っても発売は2年前だ)が処方されるようになってきた。

この薬はメラトニンという、夜に多く分泌されて睡眠を促すホルモンの受容体に作用する。いわば正常に働かなくなっている体内時計の針を外部から動かすわけだ。
これまで主に使われてきたベンゾジアゼピン系の薬が、GABA受容体に作用して興奮を鎮めることで眠りに誘っていたのとは異なり、ふらつきなどの副作用がない。高齢者ではこれが大きな問題で、夜間トイレに行こうとして転倒という事故が後を絶たないことを考えると、ロゼレムにかけられる期待は大きい。

効果の程は? と、おくすり110番でロゼレムを引いてみると、臨床試験では
① 1,130人を対象にした試験:投与群はプラセボ群に比べ平均3分早く眠れた(統計的有意差なし)
② 971人を対象にした試験:服用後1週間では入眠時間短縮(有意差あり)。服用後2週間では有意差なし
という、何ともあやふやなデータが(^-^;

高齢者の場合、夜間眠れない→日中に眠くなって寝てしまう→さらに夜間眠れなくなるという悪循環が起こりやすく、昼夜逆転と言われる状態になることもある。
在宅にしろ施設にしろ、日中の活動を一人で行うのが難しくなった高齢者にとって、昼と夜のリズムを保つのは難しい。人間は能動的に動いていればそうそう眠くはならないが、受動的になったとたんに眠くなるものだ。だから、不眠=体内時計の機能低下、とばかりも言えないように思う。そういう状態でこの薬をのんで効果があるのだろうか? 例えばインスリンが正常に分泌されない糖尿病患者にインスリンを注射するのとはちょっと事情が違うのでは、と。

さて、うちの施設でロゼレムが処方された方はお二人。
うち一人はそれまでマイスリーをのんでいたのだが、夜間トイレに行く際に転倒し右手を骨折、ロゼレムに代わった。頻尿のために夜眠れないのか、あるいは眠れないためにトイレが気になって何度も行くのか……いずれにしろさらに頻尿が酷くなったため泌尿器科を受診したところ、膀胱炎とのことで、炎症を治療しているうちに眠れるようになった。ロゼレムの効果なのかどうかはちょっと判断しにくい。

もうお一人は男性の方で、夜間起き出して着替えたり、お部屋から出てきて廊下を歩いたり(徘徊ではなく、ご本人さんは歩行練習のつもりらしい)されることから、つい最近ロゼレムが処方された。さてどんなものか、次の夜勤がちょっと楽しみだ(^-^;

要介護高齢者の場合、薬を使用してからの変化を、自分で他人に伝えられることはほとんどない。なので第三者が評価するしかないが、施設でその役割を担っているのは介護職である。
そのためにはやっぱり、ある程度の医学的知識があるに越したことはない。

予後予測

末期がんの方の予後を予測するスコアとして、恒藤暁先生によるものが知られている。

7×[食欲不振]+2×[全身倦怠感]+2×[水分摂取の障害]+2×[歩行の障害]
(身体症状や日常生活動作の障害がある場合は1、ない場合には0を[ ]に挿入)

Ⅰ群(0・2・4点):予測される生存期間は1ヵ月以上
Ⅱ群(6・7点):予測される生存期間は約3週間
Ⅲ群(9点):予測される生存期間は約2週間
Ⅳ群(11・13点):予測される生存期間は約1週間

もちろん、皆が皆これに当てはまるということはないだろう。安定していると思っていたら急変することだってある。
ましてや医療職でもない我々が、これに基づいて判断を下したりすることは正しくない。私も何となく頭の中で計算してみたりすることもあるが、それを口に出したりはしない。

それでも、介護職はこうしたことも知っておくべきだと思うので、ここに記しておく。
こんなブログでも私の備忘録としてはなかなか役立っているのだ。

さて、今日ターミナルの方のケアカンファレンスをした。
私は偉そうにケアプラン原案を説明したわけだが、実は私だって全然経験なんてないのだ。不安なことだらけだ。

それでも、こうした仕事ができるということは幸せだと思っている。

旅立ちに備えて

うちの施設に現在、終末期の方がお一人いる。

ここで病状を詳しく述べることはしない。ごく簡単に述べると、入院先の病院で進行した癌が見つかったものの、ご家族さんが詳しい検査や積極的な治療を望まれず、ご希望によりうちの施設に戻って来られた。
我々も喜んで受け入れた。

しかし、以前にうちの施設で末期がんの方を看取ってから、もう1年以上経っている。その間には当然新しい職員も入ってきているので、彼らはやはり不安に思っているようだ。
無理もない。

退院後、暫定プランでご様子を見ていたが、明日のケアカンファレンスで正式なプランを作成する。その場では、職員が不安なくその方の最期を看取ってあげられるよう、死に至る過程で現れてくる変化を知っておいてもらわなければならない。そうしなければ私の立てたケアプラン原案の意味もわからないだろう。

以下は、こうした時のためにまとめてみたものだ。
主にBarbara Karnes “Gone From My Sight : The Dying Experience”(「旅立ちー死を看取る」として日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団により翻訳・発行されていた)を元にしている。

…………
1. 死の1~3ヶ月前から
・ 新聞やテレビ、周囲の人々への関心が減る。
・ 一日中ベッドの上で過ごし、起きているよりも眠っている時間の方が長くなっていく。
・ 言葉よりもスキンシップが大切になってくる。
・ 食事量が減る。食欲がなくなり、何を食べてもおいしくなくなる。固いものが食べられなくなっていき、固形物よりも液状のものを好むようになる。
2. 死の1~2週間前から
・ 一日の大部分を眠って過ごす。目を開け続けることができにくくなる。
・ 混乱がみられ、目の前にいない人と話したり、分からない場所や出来事について話したりする。
・ 寝具を引っ張ったり、興奮して手を動かしたりする。
・ 血圧が下がる。
・ 心拍数が変化する(普通は1分間80回くらいだが、150回を超えるほどにまで増えたり、反対に減ったりする)。
・ 呼吸数が変化する(普通は1分間16~20回だが、40~50回にまで増えたり、反対に6~9回くらいまで減ったりする)。また無呼吸もみられる。
・ 体温は上がったり下がったりと変動する。
・ 汗を多くかくようになる。
・ 皮膚の色が変わる。黄色がかった青白い色になることがある。また爪、手、足が青白くなる。
・ たんが増える。
3. 死の数日前から
・ 周囲への反応がほぼなくなる(元気が出てはっきりと話をしたり、好きな食べ物を欲しがる方もいるが)。
・ じっとしていられずに手足をばたばたさせる。
・ 呼吸のリズムが遅くなったり、不規則になったりする。次の呼吸が始まるまで30秒以上もかかることも。チェーンストークス呼吸(浅く数の少ない呼吸から深く数の多い呼吸に移行、ついで再び浅くなり呼吸が止まる。これが繰り返される)もみられる。
・ たんがさらに増え、のど元でゴロゴロと大きな音がする(体位を変えることで消失する)。
・ 目は開いたままや半開きの状態になるが、見えてはいないよう。目がとろんとして、涙が出る。
・ 手と足の色が紫色になる(チアノーゼ)。
・ 血圧がさらに低下。脈が弱くなり、触れにくくなる。
・ 尿が減少。
…………

以上、何かお気づきの方がいらしたらぜひコメントを。

介護事業は儲かる?

4/18、日本医師会総合政策研究機構が「介護サービスを提供する株式会社の現状」を公表した。

対象となっているのはニチイ、ベネッセ、ワタミ、ツクイ、セントケアといった大手企業ばかりだが、それらの売上高などを分析して、医療機関経営に株式会社が参入してきた場合にどういった影響がみられるかを予測するのが目的らしい。

こうした大手介護サービス事業者は、ベネッセ以外は創業者や代表者が筆頭株主となっている。所有者=経営者というわけだ。

利益率はどこも5%以上。ワタミ、メッセージは10%を超えている。やはり有料老人ホームは儲かるらしい。ワタミなど2010年の利益率が17.4%になっていて、本来の外食産業の5.3%と大きく差が開いている。介護は稼ぎ頭というわけね。
とはいえ、例えばツクイのように、有料老人ホーム部門はずっと赤字続きで、2010年にようやく黒字に転じているところもあるが。

企業によって利益率の高い部門が異なっているのも面白い。例えばニチイはグループホームが14.0%と最も高い。ツクイは訪問入浴で21.3%である。ツクイは確か訪問入浴からスタートしていたと思うので、そのあたりも大きく影響しているのだろうか。

給与については、どこも景気の良い数字が並んでいる。ツクイなど平均給与が年390万である。こうした企業では、単純に給与がいいと言うよりも、一部の幹部職員と一般の職員との格差が大きいということなのかな?
また、どこも介護職員処遇改善交付金制度開始の前後でそれほど給与が変動していないのがわかる。やっぱりそんなもんか。
またどこも非常勤が多く、平均勤続年数が低く離職率が高いのも特徴的だ。

さて、最近では多くの一般企業が介護事業に参入している。
電力会社は例外なくそうだし、JRや鉄道会社も多い。明治安田生命、三井住友海上、東京海上日動などの保険会社、パナソニック、三菱電機、NTTなども名前が挙がっている。

介護も、資本のあるところが参入すれば儲けるのは難しくないらしい。

まあ、こうしたところが大きく儲けているのは、スケールメリットを生かしているのはもちろん、「お金を持っている人」から上手に料金を払ってもらうシステムを確立しているからという面があり、さほど大きくない法人の介護保険施設や、居宅サービス中心の事業者ではそうもいくまい。

しかし、例えば企業内で「富裕層を対象にした有料老人ホーム事業で大きく儲け、その分で居宅サービス事業の赤字を補填する」というようなやり方もアリかもしれない。

何しろ国が、金とサービスを正しく社会の中で配分できていないのだから。