早期発見されにくい認知症

「認知症は早期発見が重要」と言われる。
認知症そのものを根治することはできないが、アリセプトなどの薬品および適切な介護(と言うよりむしろコミュニケーション)により、進行を遅らせることはできるとされているからだ。

しかし、「ここまでは認知症ではなく、ここからが認知症」というラインを引くのは難しい。
中核症状とされる記銘力や理解力などの低下は歳を取れば多かれ少なかれ表れてくるものだし、そういうものだと思っていたら気づいた時には進行していて周辺症状も現れた、ということになってしまいがちだ。
もちろん、これは認知症に限らず多くの疾患も同じである。そのためにいわゆるカットオフ値というものが存在しているわけだが、えてしてこの値は絶対的に不動なものではない。

さて。
高学歴の人ほどアルツハイマー型認知症になりにくいが、いったん発症すれば進行は早いと言われる(たとえばこの論文)。

本当にそうなのだろうか?

学歴と認知症に関しては、こういう論文もある。
リンク先は英文なのでごく簡単に説明すると、認知症の診断テストとして世界的に最も広く用いられているMMSE(エントリ「認知症とテスト」参照)での認知症のカットオフ値は一般的に24点とされているが、高学歴の方に対してはこの値を27点にすることで認知症診断の精度が上がるというのである。

両者を併せて考えると……
高学歴の人は認知症のテストでも比較的好成績を修めやすく、それゆえ認知症と診断されにくいため、ひとたび診断された時には既にかなり進行してしまっていることが多い。その結果、その時点からの進行が非常に早く見える、ということではないのだろうか?

また、介護の現場にいる者として感じるのは、お話の好きな方は認知症の程度や変化も把握しやすいが、寡黙な方はそれらが分かりにくいということだ。当たり前といえば当たり前の話なのだが。
寡黙な方は、問いかけると笑顔で頷かれるので、理解されているのかと思いきや全く分かっておられなかった……などということがよくある。
こうした方はえてして性格も控えめなので、HDS-Rつまり長谷川式(これもエントリ「認知症とテスト」参照)などをやろうとしても、照れ臭そうに手を振るばかりで一向に協力して下さらなかったりする。

学歴が高かったり寡黙だったりする方のご家族さんや介護従事者は、特に注意して様子を見ていくべきなのかもしれない。

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早期発見されにくい認知症」への2件のフィードバック

  1. >あっくん様
    今日も沢山コメントありがとうございます。
    統計的にデータを取れば、学歴が高い人の方が認知症の発症率が低いというのは事実みたいです。
    ……が。
    例えば他にも、「配偶者が生存している」「毎日2時間以上続けて行っている趣味がある」「週3回以上運動をしている」など、認知症の発症率が低くなる「括り」は他にいくらでもあると思うので、学歴だけに注目する意味は全くないんじゃないでしょうか。

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