これからのデイでの機能訓練

「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス、居宅療養管理指導及び福祉用具貸与に係る部分)及び指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」(老企第36号)の改正案から、デイサービスでの機能訓練がどう変わるかについて考えてみる。

基本的な改正内容は、これまでの個別機能訓練加算(Ⅰ)は本体報酬に包括化、これまでの(Ⅱ)を新たに(Ⅰ)とし、(Ⅱ)を全く新しいものとして創設(えーいややこしい!)されている。

新しい個別機能訓練加算(Ⅰ)はこれまでの(Ⅱ)と変わりないので、看護師との兼務でない、専任の機能訓練指導員が必要。
新しい(Ⅱ)では、機能訓練指導員が機能訓練に従事する時間などの定めはないため、これまでの(Ⅰ)と同様に看護師との兼任が可能であると思われる。たぶん。

(Ⅱ)ではどんな訓練をしなければならないのかと言うと。

上記第二-7-(7) (2/23の解釈通知をお持ちの方はP354)を下に引用する。

⑥ 個別機能訓練加算(Ⅱ)に係る機能訓練は、身体機能そのものの回復を主たる目的とする訓練ではなく、残存する身体機能を活用して生活機能の維持・向上を図り、利用者が居宅において可能な限り自立して暮らし続けることを目的として実施するものである。
具体的には、適切なアセスメントを経て利用者のADLおよびIADLの状況を把握し、日常生活における生活機能の維持・向上に関する目標(一人で入浴が出来るようになりたい等)を設定のうえ、当該目標を達成するための訓練を実施すること。

⑦ ⑥の目標については、利用者又は家族の意向及び利用者を担当する介護支援専門員の意見も踏まえ策定することとし、当該利用者の意欲の向上につながるよう、段階的な目標を設定するなど可能な限り具体的かつ分かりやすい目標とすること。

⑧ 個別機能訓練加算(Ⅱ)に係る機能訓練は、類似の目標を持ち同様の訓練内容が設定された五人程度以下の小集団(個別対応含む)に対して機能訓練指導員が直接行うこととし必要に応じて事業所内外の設備等を用いた実践的かつ反復的な訓練とすること。実施時間については、個別機能訓練計画に定めた訓練内容の実施に必要な一回あたりの訓練時間を考慮し適切に設定すること。
また、生活機能の維持・向上のための訓練を効果的に実施するためには、計画的・継続的に行う必要があることから、概ね週一回以上実施することを目安とする。

機能訓練を売りにし、理学療法士や作業療法士を配置するデイサービスも最近ではちらほら見かけるが、多くのデイは看護師と機能訓練指導員を兼任として個別機能訓練加算を算定している。これからも可能な限り(Ⅱ)を算定する方向でいくだろう。

日常生活における生活機能の維持・向上に関する目標を設定するのであるから、例として挙がっている「一人で入浴ができるようになりたい」の他、「一人でトイレに行けるようになりたい」「家の近辺を散歩できるようになりたい」といった目標のグループをいくつも作り、5名程度の小グループに分けて訓練を実施していくことになるのではないか。
「入浴」グループは浴槽を跨いだり、一度浴槽の縁に腰をかけて足を持ち上げる訓練。「トイレ」グループは手すりにつかまって立ち、下衣を上げ下ろしする動作の訓練。「歩行」グループは段差の上り下りなども含めた屋外歩行。こうした訓練をグループで行い、もっともらしい計画書を作って加算を算定するのはそう難しくはないだろう。

しかし、本来は。
単位が50単位とかなり高い(何しろ入浴と同じである)こと、ケアマネの意見を踏まえなければならないこと等から、これは真面目に取り組もうと思えば非常に厳しい加算であると思う。

そもそも、従来の機能訓練との違いは何なのか? と言うと。

身体機能そのものの回復を主たる目的とする訓練ではなく、残存する身体機能を活用して生活機能の維持・向上を図り

とあることから、これは、デイサービスで生活リハビリを行うことに対して与えられる加算であると考えられる。
あるいは、「生活機能」という言葉を使っていることからもわかるように、ICFを導入した機能訓練と言い換えても良い。

生活リハビリについては、エントリ「2つの『生活リハビリ』」で少し触れたが、その方が「できること」に着目し、それを生活行為に結び付けて反復・継続することで、生活動作の自立度を高めていこうとする手法である。
これまでのデイで行われていた機能訓練が、「下肢筋力の増強」「バランスの保持」といった基礎的な身体機能の維持改善を目指していたのに対し、生活リハビリでは、「手すりにつかまって浴室内を移動、浴槽を跨いで湯船に出入りする」といった生活行為ができることを目指す。

これを行うためには、アセスメントにおいて自宅への訪問が必須である。その方が暮らしている環境を目で見て確認し、その方が「できること」を踏まえ、環境を整えつつ、必要な訓練をデイ利用時に行う。
こうなるとかなり専門的なプロセスであると言える。

もしも行政が、こうした厳しい目で事業所を指導できるなら……
デイサービスは確実に一段、進化することとなる。そういうデイを是非見てみたい。


2012.08.05追記:
エントリ「リハビリテーションと機能訓練、そして生活機能の維持・向上のための訓練」も併せてお読みいただけると幸いです。

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