老健の存在する意義は

2月9日に、厚生労働省より 平成22年介護サービス施設・事業所調査の集計結果が公表された。

これも、厚生労働統計一覧によると下記のように記されている。

全国の介護サービスの提供体制、提供内容等を把握することにより、介護サービスの提供面に着目した基盤整備に関する基礎資料を得る。

経営主体別の事業者数や事業所あたりの利用者数、稼働率などの他、利用者や従業者についても集計されている。
その中に、以下のような、「退所者の入退所の経路」という項目がある。

1330644941

この中で、介護老人保健施設(老健)に注目してみる。
私は以前老健にいたので、どうしても気になってしまうのだ。

まず、退所後の行き先で「家庭」が23.8%となっており、さすがに特養や療養型よりは多い。しかし、経路が「家庭→家庭」、つまり家庭から入所し家庭へ戻った者が15.3%あり、これは最初から短期間の利用前提の入所であると思われる。この分を除くと、老健の最大の役割であるはずの「医療機関→家庭」は最大でも8.5%に過ぎない(他の経路もあるため、実際はもっと少ないだろう)。病院と家庭の中間施設としての老健の役割は、非常に小さいことがわかる。
そもそも、「医療機関→家庭」という、最も重要なはずの経路が集計されていないこと自体非常に意図的である。敢えて隠したいとしか思えない。
しかも、退所後の行き先が「家庭」なのは、平成19年の調査では31.0%。近年大幅に減ってしまっているのだ。

また、死亡は特養が63.7%あるのに、老健ではわずか6%に過ぎない。常勤の医師がおり、看護師も特養よりもずっと多いというのにこの数字である。最期の時も含めた要介護高齢者の生活の場所としての役割もほとんどない。
まあ、これでも以前の調査よりは増えている。平成19年ではさらに少なく、3.8%だったのだから。

さらに退所先の「医療機関」の多さ。特養が28.9%、療養型でさえ34.7%なのに、老健は48.9%。療養の場としての役割も小さいことがわかる。

上記の画像にはないが、別の項目では稼働率も出されていて、特養が98.3%、療養型が93.9%であるのに、老健は92.2%。
これも平成19年(90.9%)よりはましではあるが。

常に空きベッドが多く、看取りもできず、病状が悪化したらすぐに入院となり、在宅復帰の支援もできない。
これが老健の現状である。何のためにあるのだろう、この施設は?

当たり前だが、これは集計されたデータに過ぎないので、世の中には積極的に在宅復帰に取り組んでいる優れた老健もあるだろうし、また利用が長期化する代わりに看取り機能を強化している老健などもあるだろう。
ただ、やはりあり方を改めて考えたほうがいいとは思う。

それで国も今回の改正では在宅復帰支援機能を強化しようと、ようやく動き出したのかね。

広告

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中