無題

今日はうちの職場の新年会があった。
そのためまたしても酒が入っているのだが、それでも書きたいことは書けるつもりなので、今日も更新する。せっかくブログを初めて今日で216日、毎日更新を続けてきているのだから。

思えば、私がこの仕事を始めてから9年ほどの間に、認知症ケアは着実に進歩してきている。

一例。
9年前には、認知症専門棟の廊下は回廊にするのが良いと本気で言っている人が普通にいた。つまり環になった廊下であれば、徘徊される方もドアや壁にぶつかることなく、ずっと歩き続けることができるというわけだ。こんなことが大真面目に言われていたのである。
実際、公的な補助金も、回廊式廊下を作ることで数千万単位の加算があったと記憶している。
私も、なるほどそういうものなのかと思っていた。

今ならもちろん、この建物構造の残酷さは誰にでも想像できるだろう。どこかに行こうと歩き出しても、それはどこまで進んでも決して終わりのない行程である。認知症の方は、そこに放っておかれていたのだ。

さて。
さすがに今では使われていないだろうと思うので書く。

私の属していた医療法人の経営者は、社会福祉法人も持っていた。そこの特養のショートステイを利用されている方が、私の勤めていた老健に入所の申し込みをされ、私はその特養へ会いに行った。

廊下の突き当たり、鍵のかかった扉の向こう。短い、形ばかりの廊下があって、そのすぐ左手に畳敷きの部屋があった。8畳ほどの広さだったように記憶している。
日当たりは良く、室内は明るかった。そこに6組の布団が敷いてあり、認知症の方が寝ていた。

布団の間を仕切るものは何もない。家具や衝立はおろか、プライベートカーテンさえないのだ。
その部屋は、一応廊下に面してはいるが、その廊下は鍵のかかった扉につながっているだけ。つまり部屋のドアに鍵をかけて閉じ込めているのと同じだ。

私はそれを見て、怒りも嘆きもしなかった。
感情をシャットアウトし、早々に帰った。

当時介護の仕事を初めて1年足らず、相談員になったばかりの私には、そんな環境が許されるものではなく、変えることができるはずだなんて思わなかった。
当時は私の勤めていた老健でも、認知症専門棟の居室には家具が全く置かれていなかったため、そうした環境に慣れてしまっていたというのもあるだろう。

だが、こんなことはもちろんただの言い訳だ。
私も地獄の獄卒の一人だったのだ。

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