介護においての家内制手工業と工場制手工業、そして工場制機械工業

私は、職員が介護の仕事に臨む姿勢は、定員が数十名以上となる大規模施設と、定員が10名に満たないような小さな施設(あるいはユニット)のそれでは、異なっていても良いのではないかと思っている。

大きな施設では、職員は言わば歯車である。
歯車というと、あまり良いイメージは持たれないかもしれない。いくらでも交換可能とか、それ単体では何の機能も持ち得ないとか。しかし、一つでも欠ければ周囲の動きにも支障が出ることは確かだし、そもそも歯車になれるということだって、職業人としての重要な資質の1つである。
こうした職場では、チームワークは職員個人間の結合ではなく、部署間の結合となる。各々の部署内では個人間の結合ももちろん必要だが、ケアチームとして見た時には、構成員は各々の部署の代表者となる。一人一人は歯車だが、部署は装置なのである。
メリットは、個々の職員の交代が比較的容易であること、責任の所在が明確であること、命令・情報伝達が系統的・効率的に行えること、充分な新人教育ができることなどが挙げられるだろう。
デメリットは、何かしら変えていこうと思った時に、一人が声を大にしてもどうにもならず、まずは味方作りから、となることなどがある。要は簡単には変えられないのだ。

これに対し、小さな施設では、一人一人の職員が装置となる。チームワークも、文字通り個人と個人の結合となることが多い。
職員の交代も簡単ではないし、組織系統もしっかりしていないので情報伝達や新人教育が困難な面があるが、組織の変革は容易である。己の職掌範囲内であれば、自分が変わりさえすれば施設全体を変えるのには充分、ということさえある。

当然、どちらが優れているとか、重要だとか、大変だとかいう問題ではない。
歯車も装置も、個人の適性はあるだろうが、どちらも同じように大切な役割である。

さて、ここで施設の規模を、工業の発展形態に譬えてみる。
小さな施設は、家内制手工業と言えるだろう。そこでは、職員は熟練を要する職人芸の持ち主であっても良い……と言うより、そうあるべきだ。工場を真似てみたところで、小さな資本では充分な設備投資もできないのだから、それを補うには、個人の技術力で勝負するしかない。
現代の日本が誇る、町工場が持つ世界一の技術力。それを目指していくのだ。

一方、大きな施設は、職人を一か所に集めて分業させる工場制手工業から、工場制機械工業へと転換している時期にある。低賃金の女性が主な労働力となり、また労働環境の劣悪さが問題となっているところなど、まさに産業革命の頃を彷彿とさせるではないか。
彼らの労働条件を上げていったのは、労働運動の成果に他ならない。介護業界も、本気で自分たちの待遇を良くしようと思うのであれば、組合を作るぐらいのことはしないとダメだ。まあ、これは今回のエントリでは少々余談だが……
機械工業のメリットは、何と言っても一定の品質の製品を量産できることにある。これを介護に置き換えれば、要介護の方を大勢、一か所に集めることによって、介護サービスの効率化を図ると共に、品質の均一化を図るわけだ。

施設ケアマネジメントについての講義などでは、介護は職人芸ではダメだとか言われることが多い。確かにそれは大規模施設では当てはまると思うが、小規模な施設には全く適さないのではないか。

ところで、うちの施設、つまり地域密着型の介護付有料老人ホームは大規模施設と小規模施設、そのどちらに入るのかというと。
それがちょうど両者の中間に位置していて、どっちつかずなんだよね(^-^;

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