マイクロケア?

社会福祉士や精神保健福祉士、介護支援専門員の資格を持っている方はご存知だろう。カウンセリングやサイコセラピーの技法のひとつに、マイクロカウンセリングというものがある。

これは、面接に際しての援助者の行動を、視線や姿勢、口調などから始まり、開かれた質問および閉ざされた質問、はげまし、言い換え、要約、感情の反映、意味の反映……と細分化し、技術として身につけようとするものだ。あくまで技法なので、行動療法や精神分析などどんな理論にも適用できる。

私はマイクロカウンセリングを、大学時代に確か週1コマで半年間、学んだことがある。しかし、こうした技法は結局、いわゆる聞き上手な人であればわざわざ学ばなくとも自然と身につけているものであり、そうでない人(私も間違いなくこちらに入る)のいじましい努力に過ぎないよな……と感じていた。
だから無意味だ、と思っていたわけではない。それまでは個人の資質に委ねられていた部分を、学びさえすれば誰でもできるようにする、という試みは非常に有用である。ま、私はその道を深く追求しようと思わなかったのも確かだが(^-^;

さて、これを介護に置き換えて考えてみる。
エントリ「介護職員としての私」で私は、介護職員にもっとも大切なのは「気づき」であると書いた。
この「気づき」は、個人の資質に負うところが大きい……というより、ほぼ全て資質である。資質に欠く者は、「もっと気配りをしよう!」と懸命に意識してみたところで、大した効果は得られない。「あいつはいつまで経っても気づきの悪いダメな奴だ」などと言われてしまう。
しかし、だからしょうがない……と諦めてしまうのはいかにも寂しい。

私は考えた。
「気づき」だって、細分化し分析することで、誰でもできる技術にできるのではないか。
まずは、ケアを行う際には、相手の方の「生理」「感情」「意思」を常に意識するところから始めてみよう、と。

一例。ベッドに寝たまま起きてこない方がいる。その方の「生理」「感情」「意思」を考えたところ、倦怠感や腰痛といった「生理」を抱えており、起きるのは面倒だなという「感情」があるが、起きないと、という「意思」を持っている、と思われたとする。であれば、起き上がる時や椅子に座っている時に腰痛が少しでも和らぐような工夫をしつつ、食堂へ行くのが面倒ではないと思えるような動機付け、例えば「今日のおやつは〇〇さんの好きな大福ですよ」などを提示し、離床のお手伝いをする、というわけだ。

介護職員としては、最初はまず、「先輩職員から起こすようにと指示されたから」「そろそろ起きてもらわなきゃいけない時間だから」起きてもらおう、と考えるのが精一杯だろう。
しかしやがて、「ケアプランでも、日中はなるべく離床する、ってなっていることだし、起きてもらおう。その方が夜よく眠れるようになるだろうし、水分もちゃんと摂ってもらわないと」と考えられるようになる。つまり、ケアを行う根拠に目が行くようになる。
だがそれでもまだまだ全然充分ではない。根拠のある「正しいこと」を、人は常に受け容れるわけではないからだ。感情があるし、意思もある。

私がエントリ「介護にエビデンスはあるか」で、介護業界でエビデンスという言葉が使われるのが嫌いと言ったのには、こういう意味もある。つまり、エビデンスの考え方には「個」はない。医療であれば、身体の生理学的反応が基本なのでそれで良いと思うが、介護は何より「個」と向き合っていかなければならない。そこに、エビデンスに基づいた医療の考え方を安易に持ち込むのは軽率である。

まあ、カウンセリングと同様、介護も、「自分だったら」と自然に考えることができ、相手の方の様子を見て取れる職員であれば、「生理」「感情」「意思」なんてわざわざ分けて考える必要のないことではある。それに、それらを読み取る、いわばアセスメント力そのものにだって、個人の資質による差は生まれてしまう。
それでも、こうして誰でも一定レベルのケアができるようにしていくことは非常に重要ではないか。

と、私はこうして「気づき」をマイクロ化してみたが、介護において大切だといわれるものには、他にも例えば、「思いやり」とか「優しさ」などがある。これらも同じようにマイクロ化して、技術にしていければと思っている。

ところで、マイクロカウンセリングは介護の業界においても、介護に悩むご家族などに対しては非常に有効だが、認知症の方ご本人にそのまま使用できるものではない。認知症の方に接するにもそれ相応の技法が考えられるのだが……これはまたの機会に。
と言うより、自分でもまだ全然まとまっていないんだけど(^-^;;

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