介護にエビデンスはあるか

私が介護業界で使われている嫌いな言葉のひとつに、「エビデンス」というものがある。

もともと医療業界で使われるようになった言葉で、医療業界の流れに右へならえをするのが大好きな(^-^; 介護業界も、好んで使うようになっている。

科学とは、エントリ「ケアマネジメントのプロセス」でも書いたように、観察と、帰納による仮説の構築、実験での検証を経て、普遍の法則を探究するものだ。これは他の自然科学と同様、医学においても用いられていた。
一方、エビデンスというのは、臨床研究に基づく統計的データに治療法選択の根拠を求めるもので、法則すなわち「どうしてそうなるのか」ということは必ずしも重視されない。

両者は必ずしも相反するものではなく、従来の科学が仮説という研究者個人の主観的事実を実験での検証によって客観的事実へと変えていたのに対し、エビデンスに基づく医学では、その仮説構築自体が客観的事実であることを求めた、という違いでしかないとも言える。故にエビデンスの考え方は科学ではない、というわけではない。科学としての医学そのもののあり方を変えようとした試みなのである。

(以上は単なる私の理解です。誤りがあったらご指摘ください。)

さて。
介護においても、エビデンスを導入しようとすること自体は誤りではないかもしれない。
しかし、介護には医学ほどの歴史がない。ケアの根拠を求めようにも、統計的データを持つ研究そのものが少ないのだ。
また、臨床医学に対する基礎医学のような分野がない……と言うより、現在の介護の基礎をなすのは基礎医学であり、故に介護は医療に従属している。

介護はもっともっとQOLに踏み込んでいくべきだ。そこでは、医学に反することがあってもいい。極端な話、それによって健康状態が悪化するリスクが高まるとしても、その人の生活の質につながっていれば、尊重されるべきことだってある。
そうした試みを積み重ねていった先に、介護のエビデンスが生まれてくるはずだ。それは残念ながらまだまだ先のことである。

と、言っても。
介護の業界で「エビデンス」と言う時、それは単に「根拠」という日本語の置き換えでしかない場合が多い。つまりEvidence-Based Medicineの考え方とは無関係である。素直に「根拠」って言えばいいのにな(^-^;
「エビデンスに基づく介護」という言い方は、何か格好良いから真似しちゃえ、という感じがしない? それは逆にものすごくカッコ悪いと思う。

ということで、エビデンスという言葉が嫌いだからと言って、決して「ケアに根拠を求めるのは間違っている」とか言いたいわけではない。もちろん、ケアプランを立て、それに沿った支援を行うにあたっては、「なぜ行うのか」を考えなければならないのは当然だ。

また、ケアに対し「行うことを強く勧められる」とか「勧められるだけの根拠が明確でない」といった、いわゆるエビデンスレベルという考え方については、介護業界も採り入れるといいかもしれない。例えば、居宅サービス計画ではいくつかの援助案とケアマネによるエビデンスレベル(みたいなもの)の評価を提示して、それを参考に各サービス提供事業者が援助内容を最終的に決定するとか。
在宅ケアでは、各サービス事業者に委ねられる部分がもっと大きくてもいいと思うのだ。

と、最後に強引にケアマネジメントに結びつけて、このエントリを「ケアマネジメント」のカテゴリに入れられるようにしたところで、今日はここまで(^-^;;

広告

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中