記録においてのアセスメント

病院などで用いられている記録方法に、SOAPというものがある。
介護施設では導入しているところは少ないと思うが、私が最初に勤めた老健では、看護師はこれを用いて記録を行っていた。

S:Subject 主観的事実。本人や家族の言ったことなど。
O:Object 客観的事実。本人のしたこと、バイタルサインの値など。
A:Assessment 評価、課題分析。上記発言や行動に導いた原因、理由、動機は何なのか。
P:Plan 計画。事実、分析に基づいてのプランの提案、修正案など。

Aのアセスメントというのは、ケアプランのプロセスで言うところのアセスメントと同じだ。
介護記録での具体例はと言うと、例えば……

S) 何か食べるもんおくれや。お腹空いてるわけじゃないけど口寂しいんだよ。
O) 食後すぐ、お部屋に戻って横になりたいと言われ休まれていた。13:15コール。昼食を食べたことは覚えられている。
A) 空腹感と言うよりも、手持無沙汰さ、独りでいることへの寂しさのためではないか。
P) 食堂へ行き、スナック菓子など少量お出しし、軽作業や会話を。

といった感じだろうか? 実際にこういう記録の仕方をしたことはないし、介護の記録もこうすべきと思っているわけでもないので、適当だが(^-^;

とりわけ認知症の方では、Aを記入するのが難しく、同時に重要でもある。
例えば、いつも物がなくなったという訴えのある方に対し、「どこかに置き忘れちゃうことはありませんか?」とお聞きして、「今までそんなことは一度もありません」と答えたとすれば、「自分で自分自身の認知機能の衰えを認められないのではないか」という仮説が立てられる。
「いつもはどこに置いてあったっけ?」とお聞きして、正確に答えることができれば、「少なくとも、物の置き場所を自分で決めて、それを覚えておくことはできる」と分かる。
記録でこうしたことを積み重ねていけば、訴えの背後に潜む本当の「欲求」に接近できるかもしれない。

うちの施設の記録は、Sはとても豊富である。他所の施設ではあまり記録されていないところもあったりするので、これは誇れる点だ。Oも必要に応じて書かれているので問題ない。

だが、AとPが欠けている。
アセスメントやプランというのは、ケアマネであれば常に意識しているが、現場の職員にはなかなか難しいだろう。もちろん、「この人がこういうことをするのはどうしてだろう?」と考えることはあるだろうが、それでは職員個人個人の「気づき」でしかなく、「よく気づく職員」と「気づきの悪い職員」に分かれてしまうことが多い。

SやOは誤っていてはならないが、AやPに関しては、その内容を採用し継続するかはそれぞれの専門職がすべきことであるから、多少誤っているとしても、どんどん書いて欲しいと思う。少なくとも、ケアマネとしてはとても参考になる。

うちの施設で、記録にAに当たる内容を書くのは数名だけだ。皆が真似していってくれるといいなと思う。
それは何より、本人の勉強になるだろう。

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