長期目標と短期目標

居宅サービス計画および施設サービス計画では、長期目標と短期目標を定めることになっている。

まずニーズがあり、それを解決するためにクリアすべきものが目標である。
長期目標はニーズとイコールになる場合も多々あるが、解決までに時間と多くのステップを要する場合などは、ニーズよりも手前の状態となることもあるだろう。そして長期目標を達成するために、そのステップをさらに小分けにしたものが短期目標となる。
これは、階段を上るところをイメージするとわかりやすい。つまり、階段の一段目が短期目標であり、さらに何段か(一段だけということもあるだろうし、多くの段があることもあるだろう)上ったところに長期目標がある。そこはニーズが解決される場所に等しいかもしれないし、それはまだ先かもしれない。いずれにしろ、さらに上った地点には、利用者の目指す生活が待っているというわけだ。

と、こうした一般論だけでは説明しにくいので、ケアプランの例を持ってこよう。現在、わが国で作られている標準的なケアプランの一例として、「三訂 介護支援専門員実務研修テキスト」202ページに掲載されているものを採り上げてみる。脳梗塞後遺症で右片麻痺の女性のプランである。

これによると、例えば「一人で移動できるようになりたい」というニーズに対して、長期目標は「一人で移動できるようになる」となっている。そして短期目標は3つ。「移動しやすい環境を作る」「立ち上がり・歩行ができるようになる」「安全に立ち上がり・歩行をする」。この3つは段階的ではなく並列的だが、より高い目標を目指す過程が分かりやすい好例と言えよう。

しかし、いざ自分でプランを作ってみると、なかなかこうも綺麗なステップは作れない。
何故だろうか?

答えは簡単だから想像がついていると思うが、こうしたテキストの類で事例となるのは、脳梗塞後遺症などで今後の改善が見込め、かつ期待されてもいるケースと相場が決まっているからである。しかし実際には、そんなニーズばかりではない。

上のプラン例にもあるのだが、「お風呂に入りたい」というニーズに対して、長期目標は「入浴ができるようになる(19.12.10~20.3.31)」であり、短期目標は「通所リハ利用時に入浴する(19.12.10~20.1.20)」である。
ここで、長期目標の「入浴」というのが自宅での入浴を指している、とかであれば別だが、この例ではそういうわけではないのだ。単に入浴の機会が持てるようになる、という意味でしかない。であれば、長期目標と短期目標の違いはいったいどこにあるのだろうか? わざわざ期間まで変えているというのに!

私が以前よく目にしたケアプランでは、こうした場合のニーズはたいてい「お風呂に入って身体の清潔を保ちたい」などとなっていて、長期目標は「定期的にお風呂に入り、清潔が保てる」、短期目標は「通所サービス利用時に入浴できる」となっていたりする。これだと、長期と短期の目標の関係は一応はまとまっているように見えるが、目標を無理に短期と長期に分けているだけ、という印象は否めない。

このように、介護サービスを利用すればそれですなわちニーズが解決してしまうような場合、または改善が見込めない場合(例えば嚥下障害があるため、ミキサー食を提供し職員が見守ることで誤嚥を予防する、といったようなこと)は、短期目標から長期目標へステップアップしていくというイメージはそぐわない。

何が何でも、長期目標と短期目標を分けて立てる必要はないのではないか?

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長期目標と短期目標」への2件のフィードバック

  1. はじめまして。
    いつも大変興味深く読まさせていただいております。僕も、すべての目標を、短期と長期に分ける必要はないと思います。

  2. >あっくん様
    同意していただいて、また読んでくださってありがとうございます。思いつくままに書いていますが、またお気づきのことなどありましたら、よろしくお願いいたします<(_ _)>

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