しなければいけない理由

自分たちの生活ではごく当たり前にしていることであれば、同じように入居者さんたちの生活でも当たり前に行われなければならないはずだ。
だが、それがわからない、頭が固くていささか弱い職員はどこにでもいるものである。そういう職員には、残念ながら一つ一つ説明していって、その積み重ねによって類推することができるようにしていかなければならないのかなと思う。
そんな時のために、「どうしてその介助をしなければならないのか」という理由を挙げてみる。この中には、実際に私が説明したものもある。

ただし、ご本人が嫌がる場合でも、当然のことであるから何が何でもやってもらわなければいけない、というものでもないのもまた当たり前。拒否などのある場合には、周囲と相談して方法や頻度などを検討することも大切。

入浴
・雑菌を洗い流すことにより悪臭を予防する。
・汗を洗い流すことにより、汗疹(あせも)を防ぐ。汗疹ができると、その痒みで掻きこわしたところに細菌が入ることも。ただし石鹸類の多用は、皮脂を洗い落としすぎて乾燥肌の原因にもなりやすい。
・湯船に入ることにより、血行が促進される。
・施設は空調が効いているので汗をかく機能が低下しやすい。入浴、特に湯船に浸かることで発汗機能のトレーニングになる。
・これまでの生活習慣の維持。日本人は風呂好きで、当然のように毎日入浴しており、文化になっている。

歯磨き(ガーゼ等による口腔ケアも含む)
・虫歯や歯周病の予防。
・口腔内を清潔にしておかないと雑菌が繁殖し、唾液や飲食物を誤嚥することによって肺炎を起こすリスクが増大する。また口の中の細菌が全身の病気の原因になることもあると言われる。

整容
・生活のリズムを作る。
・髪型や服装は自己表現の方法の一つであり、身支度に無頓着になると、周囲への無関心へと繋がり認知症を進行させる恐れも。

更衣(昼間は普段着に、夜間はパジャマに着替える)
・生活のリズムを作る。
・日中は普段着に着替えないと、起きて活動しようという意欲を減退させる。
・夜間、普段着では窮屈で吸汗性も悪い。これにより不眠や、夜間に落ち着きがなくなるなどの行動を引き起こすことも有り得る。

洗顔
・目やになどの汚れを除去。
・冷水(または温水)によりさっぱりとしてもらい、覚醒を促す。

排泄(パッド等の適切な交換)
・尿は体外に出た後アルカリ性に変わり、皮膚に対して刺激性を持つ。雑菌も繁殖しやすくなり、トラブルに発展しやすい。
・湿潤は褥瘡の三大発生因子(圧迫、湿潤、低栄養)の一つである。

照明の点灯・消灯やカーテンの開け閉め
・人間には生体リズムというものがある。一日周期のものから、一年周期のものまで。昼間には太陽の光を感じていないとそれが狂う。また季節によって変化する日照時間も大切で、季節性うつ病は日照時間に影響しているという説もある。
まだ外が明るいうちにカーテンを閉め、太陽光を遮断すると、人間のサーカディアンリズム(慨日リズム)は本来25時間なので、1時間の差が修正できなくなって昼夜逆転したり、酷いときには精神に異常をきたすという研究もある。先進的な病院や施設では、日照時間に合わせて照明の明るさを自動的に変えるところもあるくらい。電気の節約のために明るい昼間は照明を暗めにする、ということではなく、全く逆で、昼間は照明も強くして夜は暗めにする。
つまりカーテンを早く閉める、というたったそれだけのことが、昼夜逆転を促したり、うつ病を悪化させる可能性がある。
・窓の外の風景も、時間や季節を感じる重要な要素。こうしたことを無意識的に常時確認していることが、見当識の保持に役立つ。

とにかく、職員が横着することで、入居者さんの機能が低下し、結果自分たちの仕事がますます増える……という悪循環に陥らないようにしなければならない。そんなのは誰も得しない。

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