パーキンソン病と強迫観念

パーキンソン病の方で、夜間にナースコールを押し、現実とかけ離れたことを言われる男性の入居者さんがいる。職員の説明で納得し入眠されることもあれば、その後も眠られずに何度かナースコールを押されたり、部屋から出て来られることもある。

その内容は、「~~しないといけない」というものが非常に多い。「出産祝いを集金しないと」「逓信保養所に行かないと」などなど。
これはなぜだろうか?

仮説1:(メンタルな仮説)
その方はパーキンソン病の症状としての抑うつのため、「自分は何の役にも立たない人間である」と自ら思い込まれている。それに対して自我の防衛機制が働き、その思い込みを否定するため「自分にはしなければならないことがある」という観念が生じる。

仮説2:(フィジカルな仮説)
「~~しなければならない」と思い込むことは、強迫観念と言って良いだろう。
強迫観念は、セロトニンやドーパミンなど神経伝達物質の異常から起こると言われるが、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)が強迫性障害の治療に効くということは、とりもなおさずセロトニンが関与していることの証になる。
その方は、振戦はあるが不随意運動はない(振戦が不随意運動とは違うものだとすればだが)。しかし、別のパーキンソン病の方は不随意運動が激しい。口を尖らせたり、手首をくねらせたりといったことがよく見られる。
不随意運動にセロトニンが関係している(SCIENCE TRANSLATIONAL MEDICINE誌2010年6月30日号 日本語訳はこちら)とすると、パーキンソン病の方はセロトニンも異常をきたしており、それ故に強迫観念が生じることがある。

ここから先は、何の医学的根拠もない私の勝手な想像。
パーキンソン病は主にドーパミンの減少により発症するため、ドーパミンを増やす薬を飲んでもらうのだが、ドーパミンとセロトニンの量はある程度互いに依存するので、ドーパミンが充分すぎる量になるとセロトニンが減り、ドーパミンの量が充分に増えていないとセロトニンが過剰気味となる。
そのため、ドーパミンが多めでセロトニンが少ないタイプ(このエントリでメインに取り上げている方)と、ドーパミンが少なめでセロトニンが多いタイプ(上で、「別のパーキンソン病の方」として挙げている方)ができる。
前者には、振戦、抑うつ・強迫観念など陰性の精神症状が現れ、後者には、不随意運動、被害妄想・幻聴など陽性の精神症状が現れる。また体の動きが悪く、すくみ足などが見られるのは、ドーパミンが足りていない後者の方である。
……なんてね。

言うまでもないが、仮説2はただ何となく考えてみただけだ。
我々は介護職なのだから、「ではパキシルを出しましょう」というわけにはいかないし、そもそも薬では1つの症状を抑えると、別の症状が現れてしまうということになりがちだから、なるべく頼りたくはない。

「自分は役に立たない人間である」という気持ちを打ち消すために一番手っ取り早いのは、仕事をしてもらったり、役割を獲得してもらうことだろう。ただでさえ男性は、仕事や役割を欲する方が多い。
これについてはまた日を改めて考えてみたい。
……って、これが今日の本題になるはずだったのに!(^-^;

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