操作的認知機能障害

認知症のうち大半を占めているアルツハイマー型は、まず記銘力や見当職の障害が現れる。
しかし認知症のあるタイプでは、記銘力や見当職はかなり保たれているのに、いわば操作的な機能が目立って低下する、ということがある。

例えば新聞紙を1枚ずつ3つ折りにして積み重ねていく、という簡単な作業の手順が覚えられない。ババ抜きをすると、自分の番や、誰の手札から1枚取って誰に1枚取ってもらう、ということが分からず、逐一「○○さん、□□さんから1枚取ってください」と隣の方を指差し、その後も「△△さんに1枚取らせてあげてください」と声をかける必要があるし、手札もそれとなく覗き込み、出せるカードがないかチェックしてあげねばならない。塗り絵をしてもらうと、ここは何色で塗ったらいいか、どこまで同じ色で塗りつぶすか、ということが決められない……
こうなると、ちょっとした気分転換にとレクにお誘いしても、それが却ってストレスになる気がしてしまう。見たところは楽しそうにされているとはいえ。

とにかく何かを行うときに、頭の中で手順を組み立ててその通りに動いていく、ということが極めて不得手なのだ。
排尿時にトイレの周りを汚すので(汚すこと自体は問題ではない。職員が掃除すればいいだけのことだから。だが、その汚れを自分で踏み滑って転倒する、という事故があったのだ)、排尿を便座に座ってするよう勧めてみたが、座って排尿するためにはどういう順番で動いていけばいいのかということを、どうしても理解していただくことができなかった。「まずトイレに背中を向けて、ズボンを下ろして……」と順に説明すると、「こっち向いてするの?」「ズボンをこんなに下ろさないといけないの?」と驚かれる。排便はお一人で普通にされているので、「大きい方をするときと同じですよ」と言っても、具体的にどうすればいいのか全くイメージできないようだった。
おそらく排便の際に座るのはずっと以前からの習慣なので、体が覚えているのだと思われる。新しいことが覚えられないのだ。

原因による分類上は、いわゆる脳血管性の認知症になるだろう。
うちの施設にはこのような方がお二人いて、お一人には脳梗塞の既往がある。もうお一人は、脳梗塞などの診断名はついたことはないが、深部静脈血栓で肺塞栓を起こし入院されたことがあるので、いつかは特定できないが、脳内でも小さな梗塞を起こしたことがあるのかもしれない。
ちなみにHDS-R(改訂長谷川式簡易知能評価スケール)は、お一人しか実施できていないが、19点ほどで、私の予想よりもずっと高かった。

こういう方が喜ばれるのは、何といっても外出である。施設周辺を散歩するだけでも喜ばれて、何日も経ってからも「この間はありがとうございました。楽しかったね」と言ってくださる。

レクレーションが、こうした個性も考えた上で提供されるようになればいいな、と思う。

あ、タイトルの「操作的認知機能障害」という言葉は、私が今適当に作りました(^-^;

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